厚生労働省が、2022年度の公的年金の支給額を21年度に比べ0.4%引き下げると発表しました。
これにより厚生年金を受け取る夫婦2人のモデル世帯で、903円減って月額21万9593円となり、これは年金額を決める際の指標である現役世代の賃金が下がっているため、2年連続の減額となります。
この引き下げは、4、5月分をまとめて支給する6月の受け取り分から適用され、年金額は物価や賃金の変動に応じて毎年改定るのですが、総務省が21日発表した21年通年の消費者物価指数(総合指数で前年比0.2%下落)を受け、厚労省が22年度の年金額を確定させています。
自営業者らが入る国民年金は、40年間保険料を納めた満額支給の場合で259円減の月額6万4816円となり、この厚生年金のモデル世帯とは平均的な収入(賞与を含む月額換算で43万9千円)で40年間働いた夫と専業主婦の世帯をさしています。
21年の消費者物価指数の下落のほか、過去3年間平均の名目賃金変動率は0.4%下がり、賃金変動率が物価を下回る場合、賃金変動率にあわせ年金額を改定するルールになっていて、賃金や物価の伸びより年金の支給額を抑える「マクロ経済スライド」の発動は2年連続で見送られています。
少子高齢化が進むなか年金財政を維持するための仕組みだが、物価や賃金の低迷に伴ってこれまで実施されたのは3度にとどまっていて、厚労省は18年度からマクロ経済スライドを発動しない場合、調整分を翌年度以降に繰り越す「キャリーオーバー制度」を導入。21年度と22年度をあわせ0.3%の調整分が繰り越される結果となり、23年度以降にまとめて抑制する可能性があります。