老齢年金の受け取りはよく考えて

投稿者: | 7月 26, 2022
年金手帳とお金

老齢年金は最大で5年繰り上げてもらったり、繰り下げてもらうことができるのですが、いずれにせよ一定率で年金額が増減することになります。

繰上げ受給

本来年金を受給できる年齢から前倒しして年金を受け取ることを繰上げ受給というのですが、この場合年金が一定額減額されることになります。

減額率は1ヶ月当たり0.5%で、本来65歳から受け取れる年金を60歳に繰上げて受け取る場合、

0.4%(毎月の減額率) x 60ヶ月(5年分)=24%

という計算により、65歳で受け取る額から24%減額された金額を受け取ることになります。

さらに繰上げ受給には注意点もあり、繰上げ請求してしまうと取り消しすることはできず、生涯減額となった年金の受け取りとなり、さらには寡婦年金や障害基礎年金が受け取れなくなったりします。

また、国民年金に任意加入することもできず、保険料の追納もできなくなってしまいます。

減額された年金額だけならともかく、ほかにもデメリットがありますから、繰上げ受給を決定する前に、よく考える必要があります。

繰下げ受給

繰下げ受給の場合、先ほどとは異なり、本来65歳から受け取れることのできる年金を66歳以降75歳まで繰り下げてもらうようにすることで、年金の受給が遅れる代わりに、増額した年金を受け取ることができるようになり、65歳からの受け取りを70歳まで繰り下げると、

0.7%(毎月の減額率) x 60ヶ月(5年分)=42%

65歳で受け取る金額よりも42%増額した年金を受け取ることができるようになります。

繰上げ?繰下げ?

年金を繰り上げてもらうほうがいいのか、繰り下げてもらうほうがいいのか、悩んでしまいますよね。

まず繰り上げた場合であれば、減額された金額が続くので受給総額を考えると長生きすると損となりますし、繰り下げた場合は増額された状態で受け取ることができるので長生きするほど得になると言えます。

しかし、こんなギャンブルめいたことを高齢になってから決定しなければならないなんて、なかなか国もいい加減ですよね。

ちなみに2019年の時点で、繰上げ受給を選択した人は、国民年金で12.4%、厚生年金で0.4%となっていて、繰下げ受給を選択した人は、国民年金では1.5%、厚生年金では0.9%となっているようで、そしてこの数値は年を追うごとに繰下げ受給率が少しずつ増えているようです。

まぁ、これは当然の流れかもしれませんよね。

なにせ1番怖いのは「長生きをしてしまったら、経済的に困まる」ということでしょうし、若い時分ならともかく、歳をとって健康不安が出てくるわけですから不安を持っている人の方が多くなるでしょうし、現在の40代と50代が想定している自分自身の寿命の平均は「78.0歳」という調査結果があるようですから、年金の受け取りを遅らせ、動ける間に働いて増額された年金を受け取ろうと考えるのは当然の成り行きですよね。