厚生年金は何歳まで支払うのか?

投稿者: | 7月 28, 2022
電卓と天稟

国民年金の支払いは20歳から60歳までとなっているのですが、全ての国民に加入が義務付けられている国民年金とは別に、会社員や公務員は厚生年金の加入が義務付けられています。

そもそも日本の年金制度は2階建て構造になっていて、1階部分は20歳以上〜60歳未満の全ての国民が加入している国民年金で、厚生年金は2階部分にあたり、国民年金に上乗せされて支払われる年金となっています。

日本の年金制度は2階建て構造
日本の年金制度は2階建て構造

ですので、厚生年金に加入していれば、基本よりも多くの年金が受け取れることになり、その受給額は国民年金の2〜3倍となり、いわば会社が提供する年金保障制度ともいえます。

年金制度の2階建て部分に該当するのが厚生年金ですが、60歳を超えてからも働く場合どうなるのか?と思われるかもしれませんが、国民年金の支払いが20歳から60歳までと決められているのに対し厚生年金は、原則として70歳まで支払うことになります。

さて、その厚生年金の保険料なのですが、これは毎年4〜6月に受け取った給与額(標準報酬月額)賞与に保険料率18.3%をかけて求めた額となりますので、保険料や将来受け取る年金の額は、所得に応じて変わります。

またこの保険料は、事業主と被保険者で折半となり、毎月の給与や賞与から差し引かれ、手取りの額面が給料よりもグッと少なくなっている理由のひとつでもあります。

さて60歳以上になっても働いており、65歳となった場合どうなるのでしょう?

65歳といえば、厚生年金を受け取ることのできる年齢であり、仕事をしながら年金を受け取れることができるのか心配になりますよね。

これについては、原則として厚生年金は65歳から受給できるので、65歳を過ぎても企業に雇用されている場合、厚生年金を受給しながら保険料を支払うことになります。

なんだか少しややこしいですよね。

しかも受給後に支払う保険料も再計算され今後の年金に反映されることになるのですが、再計算されるのは、退職時もしくは70歳のときと決まっていて、70歳前に退職する場合はそれぞれのタイミングで年金が再計算され、70歳まで勤務している場合は、70歳になったときに5年分(60ヶ月分)の支払いについて再計算されるようになっています。

しかし、この計算は2022年の厚生年金保険法改正により変わり、65歳以降も勤務している場合、退職や70歳のタイミングは関係なくなり、在職中に毎年再計算が行われることなります。

これは「在職定時改定」と呼ばれるもので、9月1日を基準日とし、前月までの加入記録をもとに再計算され、基準日の翌月である10月分から年金に反映されることになりますので、70歳まで働いている場合、毎年10月から年金額が増えることになります。

少子高齢化により長寿大国となってしまった日本、老後の人生をゆっくり過ごすなんてことは許してもらえないのでしょうね。

さて、そうなってくると70歳以降も勤務している場合はどうなるのでしょう?

まぁ、あまり考えたくはないのですが、70歳以上になっても勤務している場合、任意で厚生年金に加入することも可能となっているのですが、年金を受け取るには最低限必要な加入年数(10年)がありますので、それを満たしていなければ受給することはできず、80歳からの年金を受け取るということを考えると、あまり上手な選択ではありませんよね。

とはいえ、任意で支払いをしてある一定の要件を満たせば受給できるという制度もあり、これを「高齢任意加入被保険者」といって、要件として事業主の同意を得る「高齢任意加入被保険者資格取得申出書」を提出し、厚生労働大臣が認可すれば、厚生年金に任意加入することができます。

年金について若い頃であれば「払うのが馬鹿らしい」「なんで支払わなければならないの?」「給料から勝手に引かれている」など納得のいかないことも多いかもしれませんが、歳をとってくると自身の衰えや勝手の利かなくなってきた体などに愕然とし、年金のことをありがたく感じることもあります。

ですので、若い自分から年金についての知識を得ておくことが、最後の人生までを豊かに暮らすことの第一歩だと考えた方がいいでしょう。