「ねんきん定期便」の談合事件で26社の独禁法違反を認定

投稿者: | 6月 21, 2022
ねんきん

日本年金機構(東京)が年金加入者に送る「ねんきん定期便」などの入札をめぐる談合事件で、公正取引委員会は、大手印刷業者など26社の独占禁止法違反を認定し、25社に排除措置命令、24社に計17億4161万円の課徴金納付命令を出しました。

さらに談合情報が寄せられていたのに通報をしていなかったとして、機構にも改善を求めた。

談合していたのは、東洋紙業(大阪)、ナカバヤシ(同)、共同印刷(東京)、凸版印刷傘下のトッパン・フォームズ(同)、北越パッケージ(同)など。

遅くとも2016年5月から、ねんきん定期便や年金振り込み通知書など機構が発注する22種類の印刷・発送準備業務の入札などで談合があり、課徴金の算定根拠となった各社の売り上げは計約183億3824万円だったようで、公正取引委員会は19年10月に立ち入り検査をしていました。

公正取引委員会によれば、ナカバヤシや共同印刷などの6社が「幹事」役として各社の受注希望を聞き取り、価格や受注予定社を調整し、一部の社が落札、機構に無断で他の社に委託するなどして仕事を分け合い、大規模な談合組織を維持していたのだそうで、公正取引委員会は主導的役割を担った6社の課徴金を独禁法の規定に基づき5割増やしました。

公正取引委員会は各社に対し、談合の再発防止に加え、他社と受注に関する情報交換を今後行わないよう命じ、こうした内容を談合事件の排除措置命令に入れるのは初めてとなります。

1990年代に、機構の前身である旧社会保険庁が発注する入札で、トッパン社の前身の社などによる談合事件があり、再び談合が起きたことを受けて厳しい対応をとっています。