年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国内のスタートアップへの投資に乗り出すのだそうで、ベンチャーキャピタル(VC)のファンド経由で、投資額は数十億円規模となりそうだとか。
世界最大級の機関投資家であるGPIFの参入は他の年金マネーの呼び水となり、米中などに遅れているスタートアップの育成に弾みがつく可能性があり、期待したいですね。
GPIFが運用を委託する三菱UFJ信託銀行が5月末、独立系VCのグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)が組成するファンドに出資する契約を結び、国内スタートアップ向けファンドへのGPIFの出資が明らかになるのは今回が初めてで、新ファンドはすでに500億円の資金を集めているようで、年内をめどに700億円規模にする方向で、製造業や医療、建設といった業界の有望企業を探すようです。
これまで日本のスタートアップ投資は事業会社と銀行が中心で、年金マネーは少なく、VCファンドの出資者に占める年金の比率は2021年時点で3%と、アメリカ(32%)の10分の1以下で、その結果としてVCファンドが大型化せず、スタートアップの資金需要に十分に応えられていない面があり、評価額が10億ドル(約1350億円)以上の未上場企業「ユニコーン」は、アメリカが600社を超えるのに対し、日本はたった6社にとどまっています。
約200兆円の運用資産を持つGPIFの動きは新たな年金マネーの呼び水になる可能性があり、投資家の裾野拡大でファンドの規模が膨らめば、ユニコーンが育ちやすい環境が整います。
年金積立金管理運用独立行政法人
GPIFは「Government Pension Investment Fund」の略で、日本の年金積立金管理運用独立行政法人のことを指し、預託された公的年金積立金の管理、運用を行っています。
2021年度の運用益は、10兆925億円となり、2年連続の黒字、収益率は5.42%。
年金については、私たちが納めている年金保険料は現金としてプールされているのではなく、株式などの投資にあてられていて、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、年金積立金による安定志向の運用に取り組んでいます。