受給額減り遺族年金も制限

投稿者: | 2月 3, 2022
繰上げ受け取り年金

公的年金は原則として65歳から受給が始まるのですが、手続さえすれば1カ月単位で前倒しすることができ、最も早ければ60歳から受け取れるようになっていて、厚生年金をもらえる人なら、基礎年金と厚生年金を原則セットで繰り上げる仕組みとなっています。

厚生労働省によれば、2020年度の基礎年金受給者のうち70歳時点で繰り上げをしている人は8.8%だったようで、この数字は減少傾向にあるものの繰り下げの2.2%に比べると多い数字となっていて、年金を早くもらいたいという一定のニーズがあることを示しています。

まず年金を繰り上げて貰う場合、その受け取り額は減ることになっており、減額率は現在、1カ月につき0.5%。今年4月からは0.4%で、60歳になってすぐ受け取り始める場合の金額は65歳からの金額より24%少なくなります。

2022年度の基礎年金で計算すると年約59万円となり、65歳からもらう場合の年約78万円に比べ19万円ほど少なくなり、受取額は月5万円を下回ることになります。

そしてその減額された金額は復活することはありませんから、60歳から受け取る場合の受給総額は80歳10カ月で65歳受給開始を下回り、その後は差がどんどんと開いていくことになります。

また年金の減額以外にも障害年金においてもデメリットがあり、国民年金または厚生年金の被保険者などが対象で、ケガや病気で生活に支障がある場合に受け取ることができるのですが、障害の程度によって基礎年金は1~2級、厚生年金は1~3級と一時金に分かれ、2級は老齢年金の満額、1級は1.25倍の金額を受け取れるようになっており、障害基礎年金の1級は22年度で年約97万円となっています。

ただし受給するには条件があり、例えば障害基礎年金は65歳前に初診日があることなどが条件。繰り上げを選ぶと年金受給上の年齢が65歳扱いになるため、繰り上げ後に障害状態になっても障害基礎年金を原則受け取れないので、治療中の病気や持病がある人は特に注意が必要で、当初は軽症で障害年金の基準に該当しなくても、その後に傷病が悪化した場合は「事後重症」という手続きで障害年金を受け取れる場合があるのですが、繰り上げを選択していると事後重症の請求をすることができず、障害年金は非課税とはいえ、繰り上げた老齢年金には課税されることになります。