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国民年金1.9%・厚生年金2.0%アップでも油断禁物。通知書で必ず見るべき「3つの数字」

年金手帳とお金
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  • 「年金が増える」とニュースで聞くけれど、自分の手取りはいくら増えるのか分からない。
  • ねんきん定期便やねんきんネットの数字と、実際の振込額が違っていてモヤモヤする。
  • 年金額改定通知書や年金振込通知書のどこを見ればいいか分からない。
  • 物価も上がっていて、増額が生活にどのくらいプラスになるのかイメージできない。

2026年度は、国民年金が1.9%、厚生年金が2.0%引き上げられ、公的年金は4年連続で増額となります。

一見うれしいニュースですが、「実際の振込額」がどれだけ増えるかは、また別の話。

年金からは、介護保険料や医療保険料、住民税、所得税などが天引きされるため、ニュースで聞いた数字ほど手取りが増えないケースも少なくありません。

この記事では、2026年度の年金改定のポイントをやさしく整理しつつ、「6月に届く通知書でどこを見るか」「今のうちに何をしておくと損をしにくいか」を具体的に解説します。

2026年度の年金はどれくらい増える?ニュースの数字を整理 

2026年度の公的年金は、国民年金(老齢基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%引き上げられます。

年金額は毎年、物価や賃金の動きをもとに見直されており、今回は4年連続で「プラス改定」となりました。

簡単に言うと「物価や給料が上がっているぶん、年金も少し増やします」という調整となります。

具体的な目安としては、国民年金の満額(1人分)が月7万608円程度、厚生年金のモデルケース(平均的な収入で40年間働いた会社員+夫婦2人分の基礎年金)が月23万7279円とされています。

ただし、これはあくまで「モデルケース」であり、全員がこの金額を受け取れるわけではなく、加入期間や収入額によって、一人ひとりの年金額は大きく変わってきます。

ここで大事なのは「増額のニュース=あなたの手取りがそのまま同じ割合で増える」わけではないという点で、年金からは税金や社会保険料が天引きされるため、「額面」と「振り込まれる金額」にはかなりの差があります。

まずはニュースで出てくる数字は「額面の目安」だと理解し、そのうえで自分の金額を確認していくことが大切です。

モデルケースと平均額から「自分の年金」をイメージする方法 

「国民年金満額7万608円」「厚生年金モデル夫婦23万7279円」といった数字がニュースで話題となっていますが、これらは、いわば「基準となる参考値」で、自分の年金を考えるときは、いきなり細かい計算をしようとせず、まずこの基準と比べてみるとイメージしやすくなります。

「自分は自営業で国民年金だけ」「厚生年金の加入期間が短い」「パートで厚生年金に入っていた期間がある」など、働き方は人それぞれ。

モデルケースより加入期間が短ければ、そのぶん年金額も低くなりますし、専業主婦(第3号被保険者)だった期間が長い場合も、厚生年金部分は少なめになる傾向があります。

ここで「ねんきん定期便」と「ねんきんネット」を活用することをおすすめします。

ねんきん定期便に記載されている「老齢年金の見込額」は、今のところ受け取れると見込まれる額面の目安であり、この金額を、モデルケースや平均額とざっくり比べてみることで、「自分は平均より多いのか少ないのか」「どのくらい生活費を年金以外で補う必要がありそうか」が見えてきます。

細かい試算が面倒な人でも、「モデルケースとの差」を見るだけで、老後の家計イメージがつかみやすくなるはずです。

6月に届く2種類の通知書、どこを見る? 

毎年6月になると、日本年金機構から「年金額改定通知書」と「年金振込通知書」が届きます。

どちらも大事な書類ですが役割が少し違っていて、「年金額改定通知書」には、その年度(4月分以降)の年金額がいくらになるかが書かれており、ここに載っているのは「額面」の金額で、いわば「増額後のカタログ値」。

一方で、「年金振込通知書」は、あなたの口座に実際に振り込まれる金額と、その前に引かれている税金や保険料の内訳が分かる書類で、こちらが「実際の手取り」を知るための一番重要な資料となります。

特にチェックしたいポイントは、

  1. 支給総額
  2. 天引きされている項目と金額
  3. 差し引き後の振込額

の3つ。

通知書を見るときのコツは、「昨年と比べる」ことで、去年の通知書が残っていれば、支給総額と振込額を並べてみましょう。

「額面は増えているのに、手取りはほとんど変わっていない」「むしろやや減っている」というケースもあり、これは介護保険料や住民税の増加が影響している可能性があります。

数字を並べて見ることで「なぜ思ったほど増えていないのか」が具体的に分かり、モヤモヤが減るはずです。

年金から引かれるお金とは?手取りが減る仕組みを理解する 

年金は「税金も社会保険料も引かれた後の金額が口座に入る」という意味で、現役時代の給料と同じ仕組みで、主な天引き項目としては「介護保険料」「公的医療保険(国民健康保険や後期高齢者医療制度)の保険料」「個人住民税と森林環境税」「所得税および復興特別所得税」などがあります。

これらは、住んでいる自治体や収入額によって金額が変わります。

「去年より介護保険料が上がった」「医療費控除を申告したので住民税が少なくなった」など、小さな変化が年金の振込額に影響します。

ねんきん定期便やねんきんネットに出ている金額は、これらが引かれる前の「額面」ですから、「定期便では月15万円と書いてあったのに、実際の振込は13万円台だった」ということが起こります。

注意したいのは「年間18万円に満たない年金額」など一部のケースでは、そもそも天引きの対象とならない場合があること。

つまり、「少ないからこそ引かれない」という逆転現象もあり得ますので、自分がどのパターンに当てはまるのかを知るためにも、通知書の天引き欄を一度じっくり確認してみることが大切です。

仕組みを理解しておけば、「なんとなく減っている気がする」という不安が、「何がどれだけ引かれているのか分かっている安心」に変わります。

今からできる「老後家計を守る」3つのチェック&見直し 

年金が増額されるとはいえ、物価上昇や保険料の値上がりも同時に進んでいて「増えた分はそのまま生活費アップに回してしまう」と、あとで家計が苦しくなる恐れもあります。

ここでは、今からできる実用的なステップを3つ紹介します。

1つ目は「年金の手取り額を基準にした家計表をつくること」。

通知書に書かれた振込額をもとに、家賃や食費、光熱費などの固定費をざっくり書き出してみましょう。

足りない分があれば、貯金の取り崩しやパート収入など、どこで補うかを具体的に考えるきっかけになります。

2つ目は「固定費の見直し」。

通信費や保険料、サブスクサービスなど、毎月自動で引き落とされている支出を一度棚卸ししてみましょう。

年金が増えたタイミングでこそ、「本当に必要な支出か」を冷静にチェックしやすくなります。

3つ目は「税金・保険料に関わる控除や制度を確認すること」。

医療費が多い年は医療費控除、収入が少ない高齢者向けの各種減免制度など、使える制度がないか自治体のサイトや窓口で確認してみると良いでしょう。

これらを活用することで、同じ年金額でも、実際の手取りを少しでも増やせる可能性があります。

まとめ 

2026年度の年金増額は、ニュースだけを見ると明るい話題に見えますが、生活の実感として「どれだけ楽になるか」は、手取り額と支出の両方を見ないと分かりません。

重要なのは、

  1. ニュースの数字を「額面の目安」として理解すること
  2. 6月の通知書で自分の手取りと天引き内容を確認すること
  3. その数字をもとに家計や制度の見直しに踏み出すこと

です。

「よく分からないから放置する」のが、老後の家計にとって一番のリスクです。

まずは通知書を開き、「去年と比べていくら変わったか」を見るところから始めてみましょう。

小さな一歩でも、数字を自分の目で確かめる習慣が、これからの生活を守る大きな力になっていきます。