カテゴリー: 老後戦略

  • 厚生年金「月20万円以上」はわずか18.8% 平均15万289円で見える老後資金の不足と備え方

    厚生年金「月20万円以上」はわずか18.8% 平均15万289円で見える老後資金の不足と備え方

    厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額は全体で15万289円となっていて、男性は16万9967円、女性は11万1413円で、男女差は5万8554円になっています。

    この差は、2階部分にあたる厚生年金の加入期間や納付保険料額が個人差として反映される仕組みによるもので、日本の公的年金は、1階部分の国民年金と、2階部分の厚生年金による2階建て構造になっていて、国民年金保険料は所得にかかわらず一律の月額1万7920円(2026年度)、40年間すべて納付した場合の満額は月額7万608円となります。

    厚生年金は会社員や公務員、要件を満たすパートタイマーなどが上乗せで加入し、保険料は収入に応じて決まり、勤務先と本人が折半するもの。

    同じ統計では、公的年金収入が「月20万円以上」に達している厚生年金受給権者は18.8%にとどまり、81.2%は20万円未満となっていて、1万円刻みの受給額分布を見ると、最も多いのは10万円以上〜11万円未満の層で111万2828人、16万円台から19万円台にかけても100万人前後の層が並び、20万円以上〜21万円未満は85万3591人にまで減ります。

    平均15万289円という数字は、こうした分布の中心に近い位置にあり、平均額の受給者が「月20万円」に届くには月4万9711円が不足しています。

    65歳からの受給期間で単純計算すると、10年で約596万5000円、15年で約894万7000円、20年で約1193万円、25年では約1491万3000円の累計不足になり、これは受給額が改定されない前提の試算とはいえ、退職金だけで埋めるには大きい規模といえる金額になっています。

    年金への依存度は世帯の所得構成にも表れていて、2025年国民生活基礎調査によれば、高齢者世帯の1世帯当たり平均総所得は336万1000円で、前年の314万8000円から6.8%増えているものの、それでも全世帯平均575万2000円の約6割にとどまっていて、所得の内訳は公的年金・恩給が61.3%、稼働所得25.9%、財産所得5.8%で、稼働所得が74.1%を占める全世帯とは収入の柱が逆転しています。

    総所得のすべてが公的年金・恩給という世帯は41.3%にのぼり、80%以上を年金に頼る世帯は合計58.4%を占めています。

    生活意識調査では、高齢者世帯の52.1%が「大変苦しい」または「やや苦しい」と回答しており、「普通」が41.7%、「ゆとりがある」と回答したのはたったの6.2%に。

    世帯構成を見ると、65歳以上の者がいる世帯のうち単独世帯が33.8%、夫婦のみ世帯が32.0%で、合わせて65.8%を占め、三世代世帯は1986年の44.8%から5.8%まで減少しており、約40年で8分の1程度まで縮小しており、家計を分け合う相手がいない世帯が、高齢者世帯の中で多数派になっています。

    受給額分布を見る限り、平均を下回っていること自体はまったく珍しいことではなく、平均値と自分の見込額を単純に比較して卑下してしまうよりも、自分や配偶者が必要とする生活費を基準に今後のライフプランを考えるほうが建設的で、他人と比べる前に自分自身の生き方を見つめ直してみましょう。

    その手順として、まず「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で自分と配偶者の見込額を世帯単位で確認し、不足額を把握しておきましょう。

    平均総所得336万1000円のうち、年金が61.3%を占める一方、収入のすべてが年金という世帯が41.3%も存在しており、「平均」だけを見て老後家計を判断すると実態を誤解しやすくなりがち。

    平均額や世帯平均所得は、あくまで分布の中の一点にすぎず、自分と配偶者の年金見込額をねんきんネットなどで確認し、支出との差を具体的な金額として把握したうえで、どこまでを積立で補うかを検討しておくべきでしょう。

  • 年金はいくらもらえる? 受給額だけでなく老後の家計で確認したい4つのこと

    年金はいくらもらえる? 受給額だけでなく老後の家計で確認したい4つのこと

    年金生活を考えるとき、まず気になるのは「毎月いくらもらえるのか」だと思います。

    もちろん、年金額を把握することは大切なことに間違いはありませんが、実際の老後生活を考えるなら、それだけでは十分ではありません。

    年金は加入期間や報酬などによって決まり、実際の振込額は税や社会保険料などを差し引いた金額となります。

    受け取ったお金から生活費を払い、まとまった支出や家族への援助にも対応するなら、その分も家計に組み込む必要があります。

    ですので、老後の資金管理においては「年金が月いくらか」だけでなく、そのお金をどう使い、どこまで残すのかまで考えることが重要です。

    「年金はいくらか」より、その金額の中身

    年金額を考えるときに注意したいのは、単純な年収だけでは自分の受給額を決められないことで、老齢基礎年金は、国民年金の納付月数や厚生年金の加入期間などに応じて計算されますし、老齢厚生年金は、厚生年金に加入していた期間の報酬額や加入期間などに応じて計算されます。

    そのため、「年収300万円で38年間働いたら、このくらい」というモデルケースがあったとしても、その数字をそのまま自分の年金額だと考えてしまうのだけは避けてください。

    重要なのは、一般的な試算を見ることより、自分自身の年金記録や通知書を確認することです。

    額面と実際の振込額は同じとは限らない

    もう一つ見落としたくないのが、「年金額」と「実際に振り込まれる金額」は同じではないということ。

    日本年金機構の「年金振込通知書」では、1回に支払われる年金額だけでなく、介護保険料、後期高齢者医療保険料や国民健康保険料、所得税、住民税などの控除項目と、控除後の振込額が示されています。

    つまり、老後の家計を考えるときは、年金の額面だけを見て「毎月これだけ使える」と判断するのは間違いで、家計に組み込むべきなのは、実際に手元へ入ってくる金額です。

    年金が入った後のお金をどう使うかが重要

    年金額が分かったら、次に確認しておきたいのが支出で、ポイントとなるのが毎月の生活費だけで老後の家計を考えないこと。

    食費や光熱費などの毎月の支出に加えて、月によってはまとまった支出が発生することもありますし、毎月の家計の平均だけを見ていると、こうした支出の対応に苦慮することになります。

    だからこそ、年金生活の家計は「月いくら使うか」だけでなく、「1年間でどれくらい必要か」という視点でも考えたいところです。

    たとえば、毎月の生活費を年金でまかなえていたとしても、年間を通じて発生する支出まで含めて余裕があるのかは別問題ですし、家などを所有している場合は固定資産税のことも考慮しておかなければなりません。

    「年金が足りるか」という漠然とした不安も、収入と支出を分けて確認しておくことで、どこに余裕があり、どこを注意すべきなのかが分かりやすくなります。

    家族への援助は「毎回いくら」ではなく年間で

    老後の家計を考えるとき、判断が難しいのが家族への援助です。

    孫への小遣いや入学祝いなどは、その都度の金額だけを見れば大きく感じなくても、何度も続けば年間ではまとまった支出になってしまいます。

    とはいえ、家族を支援したいという気持ちまで「不要な支出」として切り捨てるのも悲しい話ですし、重要なのは、自分の生活を維持するためのお金と、家族に渡すお金を分けて考えること。

    たとえば家族への援助について、

    • 何のためのお金なのか
    • 年間でどの程度までなら出せるのか
    • その支出を続けても自分の生活に無理がないか

    という基準をあらかじめ考えておけば、その場の気持ちだけで金額を決める状況を減らすことができます。

    自分の生活を維持したうえで、どこまでなら無理なく続けられるのかを決めるようにしましょう。

    年金振込口座も一度確認しておきたい

    老後のお金を管理するなら、年金がどの口座に振り込まれているのかも確認しておきたいところ。

    2026年8月から、一定の年金受給者を対象として、年金振込口座を公金受取口座として登録する特例制度が始まりました。

    対象となるのは、年金を受給していて、まだ公金受取口座を登録しておらず、2026年4月15日時点で65歳以上だった人。

    対象者には2026年8月頃から2027年2月頃まで、順次、意向確認書が送付され、登録を希望する場合は手続き不要ですが、希望しない場合は意向確認書の到着から45日以内に不同意申出書を返送する必要があります。

    期限までに不同意の申出をしなければ、年金振込口座が公金受取口座として登録されます。

    対象者にとって大切なのは、届いた書類の内容を確認し、自分が登録を希望するのかどうか判断すること。

    なお、デジタル庁によると、公金受取口座として登録されるのは金融機関名や口座番号など給付金の振込に必要な情報であり、預金残高や取引履歴などは登録されません。

    老後のお金を考えるとき、「年金が月いくらもらえるか」は重要な数字ですが、それだけを見ていても実際の家計は見えてきません。

    年金額は加入期間や報酬などによって決まり、実際の振込額は社会保険料や税などを差し引いた後の金額になります。

    さらに、毎月の生活費だけでなく、年間で発生する支出や家族への援助も考える必要があり、年金生活の資金管理では、次の4つをまとめて確認しておいてください。

    1. 自分の年金額はいくらなのか
    2. 実際に振り込まれる金額はいくらなのか
    3. 生活費や年間の支出、家族への援助にいくら使うのか
    4. 年金を受け取る口座をどう管理するのか

    「年金はいくら?」という一つの数字だけで老後を考えるのではなく、入ってくるお金と出ていくお金をセットで見る。

    そのほうが、自分の老後資金を現実的に考えやすくなります。

  • 【年金の損益分岐点】受給開始から5年・10年・15年で亡くなる人の割合は?「

    【年金の損益分岐点】受給開始から5年・10年・15年で亡くなる人の割合は?「

    老後の年金、いくらもらえるの?

    そんな疑問、ほとんどの人が抱えるものですが、逆に「年金って、結局何年受け取れば元が取れるんだろう?」「65歳から受給し始めて、すぐに亡くなってしまったら払い損になるの?」

    そんな疑問を持ったことはありませんか?

    公的年金は「長生きリスク」に備えるための保険ですが、自分が何年間受け取れるのかは誰にもわかりません。

    今回は、厚生労働省の生命表データをもとに、65歳で年金を受け取り始めてから「5年・10年・15年以内」に亡くなってしまう人の割合と、もしもの時に「払い損」を防ぐための制度について分かりやすく解説します!

    年金を「5年・10年・15年」しか受け取れない人の割合

    65歳で年金の受給を開始した人が、それぞれの節目(70歳・75歳・80歳)までに亡くなる確率(=受給期間がその年数以下で終わる割合)をまとめました。

    受給期間死亡時の年齢男性の割合女性の割合全体の目安
    5年以内70歳未満約 5.0%(20人に1人)約 2.5%(40人に1人)約 3〜4%
    10年以内75歳未満約 16.0%(6人に1人)約 6.9%(14人に1人)約 11〜12%
    15年以内80歳未満約 32.0%(3人に1人)約 15.0%(7人に1人)約 23〜24%

    ※厚生労働省の生命表データ(65歳時点の生存率)をもとに試算。

    データからわかるポイント

    • 5年以内(70歳未満)で亡くなる人は全体の数%程度とかなり少数。
    • 10年以内(75歳未満)になると、男性の約6人に1人、女性の約14人に1人が該当します。
    • 15年以内(80歳未満)では、男性の実に3人に1人が80歳の節目を迎える前に受給を終えています。

    年金の「損益分岐点」は何年?

    公的年金はおおむね受給開始から「10年前後(75歳前後)」受け取ると、支払った保険料の元が取れる(払った額以上の給付になる)ようになるように設計されています。

    • 受給 10年未満(75歳未満で死亡):単純な個人の収支としては「払い損」になってしまう可能性が高い。
    • 受給 10年以上(75歳以上まで生存):支払った保険料以上の年金を受け取れるようになり、長生きすればするほど「得」をします。
    • 受給 15年以上(80歳以上まで生存):男性の約7割、女性の約8.5割がここまで生存します。つまり大多数の人は「元を取れる(得をする)」計算になります。

    もし早期に亡くなってしまったら「払い損」になる?

    「もし5年や10年で死んでしまったら、払った保険料が無駄になってしまう」「払い損になるのは馬鹿らしい」と思うかもしれません。

    しかし、日本の年金制度には早期死亡時の救済措置が用意されています。

    ① 遺族年金(遺族厚生年金など)が支払われる

    本人が亡くなった際、生計を維持されていた配偶者や子どもがいる場合は「遺族年金」が給付されます。

    本人が受け取れなかった分は、家族の生活保障として還元される仕組みになっています。

    ② 「未支給年金」を遺族が請求できる

    年金は「偶数月の15日に前月・前々月分」が支払われる後払い制です。そのため、亡くなった月までの未払い分(未支給年金)は、生計を共にしていた遺族が請求してまとめて受け取ることができます。

    ③ 繰下げ待機中の死亡でも「5年分一括受給」ができる

    「年金を増やそうと70歳まで受給を遅らせる(繰下げ)手続き中に、68歳で亡くなってしまった…」という場合でも安心です。65歳に遡って過去5年分の年金を一括で遺族が受け取ることができるルールが整えられています。


    独身(おひとり様)の場合はどうなる?

    「独身で身内が少ない場合、早期に亡くなったらどうなるの?」と気になる方もいるかもしれません。

    結論から言うと、独身(未婚・離別・死別など)で配偶者や子どもがいない場合、早期死亡時の「払い損」のリスクは結婚している世帯よりも高くなります。

    独身者が知っておくべき3つの現実

    1. 遺族厚生年金が支給されにくい
      遺族厚生年金の主な対象は「配偶者」や「18歳未満の子」。独身で子どもがいない場合、高齢の父母が存命でない限り、兄弟姉妹や甥・姪には遺族厚生年金が支給されません。
    2. 未支給年金を受け取れる人が限られる
      亡くなった月までの未払い分(1〜2ヶ月分)は生計を同じくしていた三親等以内の親族が請求できますが、完全にお一人で暮らしている場合、請求者がいなくなってしまいます。
    3. 「死亡一時金」は65歳以降の受給者には出ない
      国民年金の「死亡一時金」は、一度も年金を受け取らずに亡くなった場合の制度で、65歳から1回でも受給すると対象外になります。

    独身者におすすめの「年金戦略」

    独身の方で「もし早く死んでしまったらもったいない」と不安な場合は、「無理に繰下げ受給(受給開始を70歳や75歳に遅らせること)をせず、65歳から素直に受け取り始める」のが確実な戦略となります。

    年金は投資ではなく、自分が何歳まで生きても生活費が尽きないための「終身保険」です。

    65歳からしっかり受け取りつつ、万が一の損得よりも「自分の安心」のために活用するのが一番です。


    世帯に合わせた戦略で「長生き保険」を活用しよう!

    最後に、受給期間のデータと世帯ごとのポイントを整理しておきましょう。

    受給期間の目安(65歳受給開始の場合)

    • 5年以内(70歳未満)で死亡: 全体の約3〜4%
    • 10年以内(75歳未満)で死亡: 全体の約11〜12%(男性16%、女性7%)
    • 15年以内(80歳未満)で死亡: 全体の約23〜24%(男性32%、女性15%)

    損益分岐点(元の取れるライン)

    受給開始から約10年(75歳前後)で支払った保険料の元が取れる計算。

    家族がいる人と独身者で変わる「年金戦略」

    • 家族・配偶者がいる人:
      万が一10年未満で早く亡くなってしまっても、遺族年金や未支給年金として家族に還元されます。
      「自分が早く死んだら」と心配しすぎず、増額を狙って受給開始を遅らせる「繰下げ受給」を検討するのもアリです。
    • 独身(おひとり様)の人:
      早期死亡時の「払い損」のリスクが既婚者より高いため、無理に受給を遅らせず「65歳から確実に受け取り始める」のが手堅い選択。

    年金の本質は「長生きリスク」への備え

    年金は単なる損得勘定の投資ではなく、何歳まで生きるか分からない人生の「終身保険」です。

    大多数の人(特に女性の8割以上、男性の7割近く)は15年以上(80歳以上)生きることになります。

    ご自身の世帯状況(既婚か独身か)に合わせた受給戦略を立てつつ、老後の安心な資金計画に役立てていきましょう。

  • 給与と年金のバランスをどう取るか:月65万円ラインの実務知識

    給与と年金のバランスをどう取るか:月65万円ラインの実務知識

    • 60代前後で、今後も続けて働く予定があり、年金と給与の両方を受け取る可能性がある
    • 自分や配偶者の年金と給料の関係を整理しておきたい
    • 会社から「65歳以降の勤務条件」の説明を受けており、収入や年金の見通しを立てたい

    60代以降も働き続けるのが当たり前になりつつある中で、「給料をもらいながら年金も受け取る」という人は今後ますます増えていきます。

    ただ知っておきたいのは、65歳以降に老齢厚生年金と給与を同時に受け取る場合、その合計が一定額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる仕組みがあるんです。

    基準となる金額は、2026年度から月65万円に引き上げられ、対象となる人の範囲も変わりました。

    どの年金が減るのか、給与やボーナスはどう扱われるのか、自分の収入だとどのくらい影響するのかを把握しておくと、働き方や勤務時間を考えるときの判断材料になります。

    ここでは、在職老齢年金の基本的な仕組みと、生活設計のなかでどのように捉えるかを確認してみましょう。

    月65万円というラインが意味するもの

    65歳以降に老齢厚生年金を受け取りながら働く場合、「給与と年金の合計が月65万円を超えると、老齢厚生年金の一部がカットされる」というルールがあります。

    ここで対象となるのは、厚生年金から支給される老齢厚生年金だけで、国民年金に相当する老齢基礎年金は減らないことが重要なポイント。

    計算の考え方は「老齢厚生年金の月額」と「給与の月額」を足して、その合計が65万円を超えた分の2分の1が支給停止となります。

    例を挙げてみると、老齢厚生年金が月10万円、給与とボーナスをならした額が月61万円なら、合計は71万円です。この場合、65万円を6万円超えているので、その半分の3万円がカットされ、実際に受け取る老齢厚生年金は7万円になってしまいます。

    この仕組みは、高い給与を得ている就業中の高齢者に対し、一定以上は年金を抑えることで全体のバランスを取るためのもので、2022年度の時点では基準が月47万円だったため、同じ収入でも年金がカットされる人が多くなっていたのですが、2026年度からは65万円に引き上げられ、対象となる人は減ってきました。

    とはいえ、それでもフルタイムで働く正社員や専門職・管理職として高い給与を得ている人は、依然としてこのラインを超える可能性はあります。

    ここで押さえておきたいのは「65万円を超えた分すべてが消えるわけではなく、超過分の半分が老齢厚生年金から調整される」という点。

    給与が多いぶん、手取りの総収入はなお高くなるケースが多く、制度上は「高収入の人の年金を一部抑える」調整に近いイメージになります。

    給料とボーナスをどう足して判断するのか

    月65万円のラインを判断するときに使う「給与の月額」は、単純に毎月の手取り額ではありません。

    社会保険料を計算するときに使う「標準報酬月額」に、過去1年間の賞与(ボーナス)合計を12で割った金額を足したものが基準となります。

    この合計を「総報酬月額相当額」と呼び、この数字と老齢厚生年金の月額を足して65万円と比較します。

    具体的なイメージをつかむために、数字をあてはめてみましょう。

    老齢厚生年金が「月10万円」、毎月の給与が「56万円」、年間のボーナスが「60万円」のケースを考えるとします。

    まず、年間ボーナス60万円を12で割ると5万円となり、これを56万円に足すことで「給与の月額」は61万円となります。

    そして、老齢厚生年金「10万円」と足し合わせると71万円となり、ここから65万円を引いた6万円の半分、3万円が年金からカットされることになります。

    このように、同じ月給でも、ボーナスの有無や金額によって「合計が65万円を超えるかどうか」が変わってきますので、年の途中から働き方を変えた場合や、賞与が大きく増えた年には、その影響が翌年以降の計算に反映されます。

    実際に自分のケースでどうなるかを確認したいときは、「自分の老齢厚生年金の月額」「標準報酬月額(健康保険証などに等級として記載されていることが多い)」「過去1年分のボーナス合計」をそろえると、計算しやすくなります。

    専用のシミュレーションツールを使う場合も、これらの数字を入力することが前提になるため、まずは源泉徴収票や給与明細、年金の通知書などを手元に集めるところから始めてみましょう。

    働き方を調整するか、そのまま稼ぐかを考える

    月65万円というラインがあると「年金が減らされるくらいなら、給料を調整した方がいいのでは」と考えたくもなりますよね?

    老齢厚生年金が月10万円の場合、給与の月額が55万円以下であれば合計は65万円以内におさまり、老齢厚生年金はカットされませんので、この範囲に収まるように勤務時間や役職、残業の仕方を見直すという考え方も現実的な選択肢のひとつ。

    一方で、日本の将来の物価や税金、社会保障の負担などは読みづらく、今、安定して高い給与を得られているなら、その機会を活かして貯蓄や投資の原資を増やしておくという考え方もあります。

    年金が一部カットされたとしても、トータルの収入が大きければ、そのぶん将来に備えるお金を確保しやすくなりますので、どちらが正解という話ではなく、「お金」と「時間」と「体力」をどう配分したいかで判断が変わってきます。

    年金がカットされることに強い抵抗感があるなら、勤務日数を減らしたり、短時間勤務に切り替えたりして、意図的に収入を抑える道もあります。

    空いた時間を趣味や家族との時間、健康づくりに使うことを優先したい人にとっては、この方が納得感があるかもしれません。

    しかし、仕事一辺倒でやってきた高齢の男性からすると、まだまだ働いて痛いという人もいるでしょうし、それぞれがそれぞれの価値観で老後設計していくのがいいでしょう。

    いずれの選択を取るにしても、まずは「自分の場合、どのくらいの給与水準から年金が減り始めるのか」「いくらまでなら減らずに済むのか」を数字で把握しておくことは大切です。

    そのうえで、会社に短時間勤務や役職の見直しが可能か相談するのか、現状の収入を維持して老後の資金づくりを優先するのかを検討していくのがいいでしょう。

  • 年金は額面どおりにもらえない?手取り額から考える老後資金の現実

    年金は額面どおりにもらえない?手取り額から考える老後資金の現実

    老後の生活費を考えるとき、多くの人は「年金はいくらもらえるか」を気にします。

    しかし、実際に生活を支えるのは「支給額」ではなく、口座に振り込まれる手取り額です。

    年金の受給が始まれば、そのまま全額が受け取れると思われがちですが、実際には税金や社会保険料が差し引かれます。

    その結果、想像していた金額との間にギャップを感じる人は少なくありません。

    2026年度は年金が1.9%増額される一方、「思ったほど増えない」という声が聞かれる背景には、この手取りの仕組みがあります。

    老後資金を考えるうえで、今あらためて知っておきたいポイントを整理してみましょう。


    年金は「額面」と「手取り」が違う

    年金の受給額として紹介される数字は、大抵の場合「額面」であり、実際の金額は、所得税や住民税、介護保険料、健康保険料などが差し引かれた後の金額であり「手取り額」が支給されることになります。

    そのため、年間180万円の年金を受け取る場合であっても、実際に口座に入る金額は額面より(かなり)少なくなります。

    「年金は年間180万円あるから、毎月15万円使える」と考えていると、実際の生活費との間にズレが生まれることがあり、痛い目をみます。

    ですので、家計を考えるときは支給額ではなく「実際に使える金額」を基準にするようにしましょう。


    思ったより年金が少ないと感じる理由

    そもそも年金の話題では「いくらもらえるか」が注目されがちなのですが、厚生年金でも年間180万円以上受給できる人は本当に限られています。

    また、女性では月15万円未満の受給額となるケースが多いという統計もあります。

    こうした状況で、税金や社会保険料の天引きが加わるわけですから、「想像より生活費に余裕がない」と感じやすくなるのは当然の成り行きですよね。

    「年金が増額された」というニュースだけを見ると安心しがちですが、実際の家計では手取り額を見なければ生活水準は判断できませんし、数字の見え方と暮らしの実感が全く一致しないことが、このテーマへの関心を集めています。


    老後資金は「手取りベース」で考える時代へ

    老後の資金計画では、収入と支出を現実に近い形で比べることが重要で、毎月必要な生活費が18万円なら、比較する相手は年金の額面ではなく、実際の手取り額になります。

    この差を早い段階で把握できれば、貯蓄を増やすのか、働く期間を延ばすのか、生活費を見直すのかといった選択肢も考えやすくなります。

    また、自営業者や専業主婦など厚生年金に加入していない人や、繰上げ受給を検討している人は、受給額の変化も含めて試算しておくことが欠かせません。

    老後の生活は「いくら受け取れるか」ではなく、「毎月いくら使えるか」を基準に考えるほうが実際の暮らしに近い計画になりますし、安心です。


    増額のニュースだけでは見えない老後のお金

    年金の増額は前向きな話題ではあるのですが、それだけで家計が大きく変わるとは限りませんし、税金や社会保険料が差し引かれる仕組みを知っておけば「思っていた金額と違った」という戸惑いも減らすことができます。

    今後は、年金生活者支援給付金のような補完制度も含め、自分が利用できる制度を確認しながら、手取りを基準に老後資金を考える人が増えていくことでしょう。

    数字そのものよりも「実際に使えるお金」を把握することが、安心できる老後設計の第一歩になるはずです。


    重ね重ね、年金は額面と手取りが同じではありません。

    税金や社会保険料が差し引かれることで、実際に使える金額は想像より少なくなることがあります。

    いや、想像より少なくなります。

    2026年度の増額も手放しでは喜べない話であり、家計への影響を考えるなら手取り額で確認することが大切です。

    老後資金を計画するときは、支給額だけを見るのではなく、毎月実際に使える収入を基準に考えることで、より現実に近い備えができるようになります。

    しかし国も、額面で偉そうなことを言うのではなく、この額面なら、これくらいの手取りくらいの指標を自ら出しても欲しいものですね。

  • ねんきん定期便の金額、そのまま受け取れると思っていませんか?手取り額の正しい計算方法

    ねんきん定期便の金額、そのまま受け取れると思っていませんか?手取り額の正しい計算方法

    毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」。

    将来もらえる年金額が書いてあるあの封筒を見て、「これだけあれば大丈夫かな」とホッとした経験はありませんか?

    でも、その金額をそのまま受け取れると思っていたら、大きな落とし穴があります。

    というのも、実際の手取り額は、定期便に書かれた数字よりかなり少なくなるんですよ。

    ですので、老後の生活設計を「ねんきん定期便の数字」で考えていると、退職後に「思っていたより全然少ない」という事態になりかねません。


    ねんきん定期便に書いてある金額は「額面」

    ねんきん定期便に記載されているのは、あくまで受け取り前の額面金額であり、会社などからの給与と同じように、年金にも各種の天引きがあります。

    ですので、実際に口座に振り込まれる手取り額は、この額面から以下のものが差し引かれた金額となります。

    年金から天引きされる4つのお金

    ① 所得税・復興特別所得税

    年金は「雑所得」として課税対象になります。

    ただし、65歳以上なら年金収入が158万円以下(65歳未満は108万円以下)であれば所得税はかからず、158万円を超えると「公的年金等控除」を差し引いた後の金額に税率がかかることになります。

    例:夫婦2人で年金月22万円のAさん夫婦は、年間264万円が収入となり、控除後の課税所得が発生するため所得税が引かれます。

    ② 住民税

    前年の所得をもとに計算され、翌年から天引きが始まり、年金生活に入ってからも、現役時代の収入に基づいた住民税が1年間かかり続けることがある点も見落としがち。

    ③ 介護保険料

    65歳になると、それまで健康保険料とセットだった介護保険料が年金から単独で天引きされます。

    金額は住んでいる市区町村によって異なりますが、全国平均では月額6,000〜7,000円前後

    年間で7〜8万円が引かれる計算となります。

    ④ 健康保険料(国民健康保険料または後期高齢者医療保険料)

    75歳未満は国民健康保険、75歳以上は後期高齢者医療制度の保険料が天引きされ、こちらも所得や地域によって金額が変わりますが、月に数千〜1万円以上になるケースも少なくありません。


    実際どれくらい減る?具体的な数字

    たとえば、ねんきん定期便に「年間200万円(月約16.7万円)」と書かれていた場合を考えてみましょう。

    項目概算金額(年間)
    額面年金額200万円
    所得税・住民税▲ 約5〜10万円
    介護保険料▲ 約7〜8万円
    健康保険料▲ 約10〜15万円
    手取り合計約167〜178万円(月約14〜15万円)

    つまり、定期便の数字より月に2〜3万円少ないのが実態で、これが積み重なると、1年で24〜36万円の誤差になっていきます。

    手取り額の正しい確認方法

    1年で24〜36万円の誤差ってかなり大きいですよね?

    そこで「ねんきん定期便」の額面に頼らない、手取りの金額をあらかじめ調べておきましょう。

    ステップ1:「ねんきんネット」で受給見込み額を確認

    日本年金機構の「ねんきんネット」に登録すれば、最新の受給見込み額を詳しく確認できますので、活用するようにしましょう。

    ステップ2:税金・保険料の概算を計算する

    住んでいる市区町村の窓口やウェブサイトで、介護保険料・国民健康保険料の試算ができます。

    所得税は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」でも試算可能。

    ステップ3:生活費と照らし合わせる

    手取り見込み額が出たら、月々の生活費(食費・光熱費・医療費・住居費など)と比較し、不足分があれば、貯蓄・資産運用・就労継続のどれで補うかを今から考えておく必要があります。

    こんな人は特に注意

    • 退職後に年金だけで生活しようと考えている人
    • 年金受給開始まで10年以内の50代
    • 配偶者の扶養に入っていて、自分の年金見込みを把握していない人
    • 持ち家があり住居費は「ゼロ」と考えているが医療・介護費を見ていない人

    ねんきん定期便の数字は、あくまでも「もらえる年金の上限」であり、手取りの金額ではありません。

    税金・社会保険料の天引きで、実際の受取額は、1〜3割程度少なくなることを前提に老後設計をしてみてください。

    やることは3つだけ。

    1. ねんきんネットで受給見込み額を確認する
    2. 市区町村で介護・健康保険料の試算を依頼する
    3. 手取り額と生活費を比較して、不足分の対策を立てる

    老後の不安は「知らないこと」から生まれますから、数字を正確に把握するだけで、老後対策の選択肢は大きく広がっていきます。

  • 会社を数年で辞めた人こそ要注意!企業年金連合会で“埋もれた年金”を見つける方法

    会社を数年で辞めた人こそ要注意!企業年金連合会で“埋もれた年金”を見つける方法

    老後資金の不安が広がるなか、「厚生年金基金」による「上乗せ年金」をもらい忘れている人が少なくありません。

    若いころに数年だけ勤めていた会社、すでに倒産・解散してしまった会社の年金は「もう関係ない」と思い込みがちですが、実はあなたの記録とお金が、今も「企業年金連合会」にきちんと保管されている可能性があります。

    ただし、このお金は自動では振り込まれず、自分から請求しなければ1円も受け取れません。

    今回は、厚生年金基金の基本と生活への影響をわかりやすく解説しながら、「自分に隠れ年金があるか」を3ステップで確認する方法と、損しないための注意点を整理してみます。

    厚生年金基金とは?「上乗せ年金」の基本

    まず整理したいのが、「厚生年金基金ってそもそも何?」という点。

    厚生年金基金とは、会社が国の厚生年金に上乗せする形でつくっていた企業年金制度の一つで、イメージとしては「国の年金(老齢厚生年金)+会社独自の上乗せ分」であり、かつては大企業や業界団体を中心に広く導入されていました。

    その後、運用環境の悪化や制度改正などにより、多くの基金が解散したり、別の企業年金に移行したりしています。

    ここで重要なのは「基金が解散した=お金や記録が消えた」ではない、という点で、多くの場合、基金の記録と原資は「企業年金連合会」という組織に引き継がれ、一括して管理されています。

    つまり、若い頃に3年だけ勤めた会社でも、その会社に厚生年金基金があったなら、あなたの上乗せ年金が企業年金連合会に眠っている可能性があるのです。

    変わるのは「お金の保管・支払い役が会社から企業年金連合会に移った」ということであり、誰に影響するかというと、過去に厚生年金基金付きの会社に勤めたすべての人たち。

    たとえ退職して何十年たっていても、記録は残っている可能性があります。

    なぜもらい忘れが起きる?「請求主義」という落とし穴 

    では、なぜこれほど「もらい忘れ」が問題になるのでしょうか?

    その最大の理由が、厚生年金基金分が「請求主義」だからで、国の老齢年金は、65歳になる前に日本年金機構から案内が届き、多くの人は年金事務所で手続きをすれば自動的に振り込まれます。

    一方、厚生年金基金分(企業年金連合会が支払う部分)は、同じ窓口では自動手続きされず、企業年金連合会に対して、別途自分から請求をしない限り、1円も支給されない仕組みとなっているのです。

    ここで起こりがちな勘違いが「年金事務所で手続きしたから、全部の年金はもう大丈夫だろう」という思い込み。

    実際には、年金事務所で確認してくれるのは日本年金機構が管理する国の年金が中心で、企業年金連合会が持っている上乗せ分までは自動的にカバーしてくれません。

    さらに、退職後に住所や名字を変えたのに、基金や企業年金連合会に連絡していない人は多く、請求書のハガキそのものが届いていないケースも少なくありません。

    「何もお知らせが来ない=権利がない」と考えてしまうと、そのまま受け取り忘れにつながってしまいます。

    自分の「隠れ年金」を探す3つのチェック方法 

    では、「自分に隠れ年金があるかどうか」を、具体的にどう調べればよいのでしょうか?

    ここでは、初心者でも取り組みやすい3つの方法を紹介します。

    最初の一歩としておすすめなのが、企業年金連合会の公式サイトにある「記録の確認」サービスで、ここで基礎年金番号などを入力すると、あなたの記録が企業年金連合会に引き継がれているかどうかをオンラインで確認することができます。

    パソコンやスマホから手軽にチェックできるので、「もしかして自分も?」と思ったら、まず試したい方法。

    2つ目は、「ねんきんネット」や毎年届く「ねんきん定期便」の確認です。

    厚生年金の加入履歴の欄や備考欄に「基金」と書かれていれば、その期間は厚生年金基金に加入していたことを意味します。

    もし「基金」の文字を見つけたら、企業年金連合会に記録があるかを必ず確認しましょう。

    3つ目は、年金事務所や街角の年金相談センターで、将来もらえる年金額の「見込み試算」を出してもらう方法です。

    詳細な試算票の一番下に、老齢厚生年金の一部である「代行部分」がいくらか、あるいはゼロなのかが書かれており、ここを見れば自分に該当するかどうかのヒントになります。

    これら3つを組み合わせることで「あるのかどうか分からない」というモヤモヤを、かなり解消できます。

    どれくらいもらえる?生活に効く金額イメージと得する人の特徴 

    「仮に見つかったとしても、どうせ大した金額じゃないのでは?」と感じる人もいるかもしれません。

    しかし、厚生年金基金の上乗せ分は、年額で数千円から多い人では数十万円に達することがあります。

    たとえば、年額3万円であっても、10年受け取れば合計30万円、年額10万円なら、10年で100万円です。

    老後の生活費に余裕がない人にとって、毎年数万円のプラスは、医療費や趣味の支出をカバーできる大きな差になります。

    「何が変わるか」といえば、老後の家計の底上げができるんです。

    特に得をしやすいのは、過去に転職回数が多い人、若い頃に大企業や業界団体の会社に数年だけ勤めていた人、すでに会社や基金が解散してしまった人。

    こうした人ほど「自分にはもう関係ない」と思い込みやすく、その分、隠れ年金を眠らせている可能性が高くなります。

    逆に損をするケースは「自分から調べない・請求しないまま放置する人」で、制度上、請求しなければ支給されない仕組みなので、「知らなかった」「気づかなかった」だけで、老後の収入を自ら手放してしまうことになりかねません。

    手続き前に知っておきたい注意点とよくある勘違い 

    実際に動き出す前に、いくつか押さえておきたい注意点があります。

    まず、厚生年金基金はすでに多くが解散しており、その解散時期によって「どこから支給されるか」が変わる点です。

    平成26年3月以前に解散した基金については、代行部分(本来国が払うべき老齢厚生年金の一部)を企業年金連合会が支払います。

    一方、平成26年4月以降に解散したケースでは、代行部分は国から支給され、企業年金連合会が支払うのは上乗せ分など残った財産に限られる場合があります。

    このため、「自分のケースがどちらに当たるのか」は、年金事務所や企業年金連合会の公式情報で確認することが欠かせません。

    次に、「年金事務所に行けば全部教えてもらえる」と思い込むのも危険です。

    年金事務所は国の年金のプロですが、企業年金連合会の詳細な記録までは直接見られません。

    「国の年金の見込み額は分かったけれど、企業年金連合会分は別に確認が必要」という前提で動くべきです。

    また、退職後に氏名変更(結婚・離婚など)や住所変更をしている場合、企業年金連合会へその情報が届いていない可能性があります。

    過去に届いた封筒やハガキをDMと勘違いして捨ててしまっているケースも多く、実家の郵便物なども含めて、一度確認しておくと安心です。

    こうした点を知らずに「案内が来ないから、自分は対象外」と決めつけてしまうのが、もっとも避けたいパターンです。

    いますぐ始めるチェックリスト:今日やること・老後までにやること 

    最後に、「今すぐ何をすればよいか」を具体的な行動に落とし込みます。

    今日できることとしては、まず手元の「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」にログインし、厚生年金の加入履歴の備考欄に「基金」と書かれた期間がないかを確認しましょう。

    もし見つかった場合は、その期間の勤務先名をメモしておきます。

    次に、企業年金連合会の公式サイトで「記録の確認」サービスを利用し、基礎年金番号などを入力して、自分の記録が存在するかをチェックします。

    この2つをするだけでも、「自分に隠れ年金がある可能性」はかなり見えてきます。

    今後、老後までにやっておきたいのは、年金事務所や街角の年金相談センターで、将来の年金見込み額の試算を一度きちんと出してもらうこと。

    その際、「厚生年金基金の代行部分についても確認したい」と一言添えると、注意して見てくれます。

    また、氏名や住所が変わった人は、企業年金連合会への変更届も早めに済ませておくと、将来の請求書の受け取り漏れを防げます。

    こうした小さなステップを積み重ねることで、「自分が本来もらえるはずのお金」を取りこぼさずに済みます。

    老後の家計を守るための一環として、今日から少しずつ“隠れ年金”の棚卸しを進めていきましょう。

    まずは確認から

    厚生年金基金は、すでに多くが解散しているものの、その上乗せ年金の記録とお金は「企業年金連合会」に引き継がれているケースがほとんど。

    ただし、このお金は「請求主義」となっていて、自分から動かなければ受け取ることはできません。

    転職や退職を繰り返してきた人ほど「昔の会社の年金はもう関係ない」と思い込み、老後資金の大事な一部を眠らせてしまいがちになるんです。

    ねんきん定期便・ねんきんネットの確認、企業年金連合会サイトでの記録検索、年金事務所での見込み試算という3ステップを通じ、自分の隠れ年金の有無を早めにチェックすることが、損しない老後への第一歩になります。