- 「国民年金は40年で満額と聞いたのに、なぜ今も給料から年金保険料が引かれているのか分からない」
- 「これ以上払っても、年金額がほとんど増えないなら損では?」
- 「いつまで働けば、老後の年金と生活費に安心できるのかイメージできない」
国民年金は40年払えば満額。
このフレーズだけが頭に残り、「もう条件を満たしたはずなのに、なぜまだ厚生年金保険料を払わされるの?」とモヤモヤしている人は少なくありません。
実は「国民年金が満額になること」と「厚生年金保険料の支払いが終わること」は、まったく別の話。
今回は、厚生年金をいつまで払うのか?その支払いが将来の年金額にどう反映されるのかを整理してみます。
国民年金40年満額と厚生年金「70歳まで加入」の違い
まず「国民年金」と「厚生年金」は別物であり、国民年金は、日本に住む20〜60歳の人全員が加入する「基礎」の年金で、保険料を原則40年(480カ月)払うと、老齢基礎年金が満額になります。
一方で、会社員や公務員などが入るのが厚生年金で、こちらは「加入要件を満たす間は、原則70歳まで保険料を払う」決まりになっています。
つまり、国民年金が40年に達したからといって、厚生年金の保険料が止まるわけではなく、イメージとしては「1階(国民年金)は40年で完成する家」「2階(厚生年金)は、働いているあいだ増築し続ける家」と思うとわかりやすいです。
この「二階建て構造」を混同してしまうと、「もう十分払ったのにまだ引かれる」という不満を覚えてしまうので、まずは、制度として別レーンの話だと認識しておきましょう。
「払っても意味ない?」厚生年金保険料が上乗せされる仕組み
では、70歳手前まで払い続ける厚生年金保険料は、どのように自分の年金額に反映されるのでしょう?
厚生年金は「報酬比例」と呼ばれる仕組みで、ざっくり言えば「加入していた月数×給料やボーナスの額」に応じて老後の年金が増えるよう設計されています。
つまり、加入期間が1カ月延びるごとに、わずかながら将来の年金が上乗せされるもので、感覚として「毎月の給料から引かれる額に対して、増える年金額が小さく見える」ことが多いため、「ほとんど意味がないのでは?」と感じてしまいがちなんです。
とはいえ、年金は一生涯受け取るのが基本なので、1カ月あたり数百円の上乗せであっても、10年、20年と受け取れば合計の差は大きくなります。
注意したいのは「増え方は人によって大きく違う」という点で、現役時代の収入や、何歳まで加入を続けるかによって、リターンは大きく変わってきます。
65歳以降も働く場合の「在職定時改定」とは
65歳以降も会社員として働き、厚生年金に加入し続ける人も増えています。
この場合、年金額はどう変わるのでしょうか?
キーワードは「在職定時改定」で、これは、65歳以降も厚生年金に入って働いている人について、前年9月までの加入実績を毎年チェックし、10月分からの年金額を見直す仕組みです。
実際に銀行口座に振り込まれるのは12月からで、前年までの働いた分が少しずつ年金額に反映されていきます。
66歳以降もフルタイムで働いていた場合、その1年分の保険料負担が、その後の年金額の上乗せとして戻ってくるのですが、65歳〜70歳の間は「在職老齢年金」という別ルールとなり、給料と年金を合わせた額が一定以上になると、年金の一部が調整(支給停止)される可能性があります。
つまり、「長く働けば必ず得」とも限らず、自分の給与水準や働き方に応じて、どこまで働くのがバランスが良いのかを考える必要があります。
自分の年金見込み額を確認する具体的なステップ
「結局、自分はいくらもらえるのか」が分からないままでは、損得の判断はできません。
そこで使いたいのが「ねんきんネット」で、ねんきんネットでは、自分のこれまでの加入記録(何歳から国民年金・厚生年金に入っているか、どのくらいの収入だったか)を確認でき、将来の年金見込み額を試算することができます。
- 基礎年金番号やマイナポータルからログイン
- 現在までの加入履歴をチェック
- 「将来の年金見込み額の試算」メニューで、いつまで働くかのパターンを変えながらシミュレーション
「今の会社で65歳まで働いた場合」「パートで収入を抑えつつ70歳まで働く場合」など、複数パターンを比べることで、「どこまで厚生年金に加入を続けるのが自分に合っているか」を具体的な数字でイメージすることができるでしょう。
注意点としては、ねんきんネットの試算はあくまで現行制度を前提とした見込みであり、将来の制度変更までは織り込まれていない点だけは理解しておきましょう。
どこまで働く?得する人・損しやすい人のパターン
「どんな人が厚生年金を長く払うことで得をしやすいか」「どんな人は慎重に考えた方がいいか」のイメージを押さえておきます。
まず、比較的高収入で、健康状態にも不安が少なく、「70代以降も長く生きる前提で老後資金を考えたい」という人は、厚生年金加入期間を伸ばすメリットが出やすい。
というのも、毎月の年金上乗せ額は小さく見えても、受け取る期間が長くなれば、トータルではプラスになりやすいからです。
一方、「すでに生活費に余裕がある」「在職老齢年金の基準を大きく超える収入がある」「健康面に不安があり、あまり長く働けないかもしれない」という人は、保険料負担と増える年金額のバランスを慎重に見た方がよいでしょう。
損を避けるコツは、「年齢・健康状態・家計状況」をセットで考えること。
厚生年金保険料の支払い・働き方・受け取る年金額を、ねんきんネットなどで具体的にシミュレーションし、自分なりの「ここまで働けば安心ライン」を決めることが、迷わない老後設計につながります。
国民年金が40年で満額になることと、厚生年金保険料の支払いが終わるタイミングは、制度上まったく別の話。
会社員や公務員として働き続ける限り、原則70歳までは厚生年金に加入し、そのぶん将来の老齢厚生年金が少しずつ上乗せされていきます。
「まだ引かれるのか」という不満で止まらず、「いくら増えるのか」「自分はどこまで働くべきか」を数字で確認することが、損をしない第一歩です。
ねんきんネットを使って年金見込み額を把握し、健康状態や家計の状況もふまえて、自分に合った働き方と老後の収支バランスを考えていきましょう。



