田中さん(58歳・会社員)は、定年後も再雇用で働く予定だが、「稼ぎすぎると年金が止まる」と聞いて不安。
副業も検討中だが、収入と年金の関係がよくわからず、何から調べればいいか迷っていました。
「稼ぎすぎると年金が止まる」
そんな話を聞いて、定年後の働き方を迷っている人は多いはず。
2026年4月、この問題を長年引き起こしてきた在職老齢年金の制度が改正され、支給停止の基準額が、これまでの48万円から65万円に引き上げられました。
つまり、月の収入と年金の合計が65万円を超えなければ、年金は1円も減らないということです。
この記事では、改正の内容を具体的な金額で確認しながら、「得する人」と「損する人」の境界線を整理します。
在職老齢年金とは?
在職老齢年金とは、60歳以降も働きながら厚生年金を受け取る場合に適用されるルールで、収入(給与)と年金の合計が一定額を超えると、超えた分の半分が年金から差し引かれます。これが「働き損」と呼ばれてきた原因です。
たとえば、月の年金が15万円で給与が40万円の場合、合計55万円。改正前の基準額48万円を超えているため、超過分7万円の半分、つまり3.5万円が年金から引かれていました。
2026年4月改正後はどう変わる?
改正後は、基準額が65万円になり、同じ条件(年金15万円+給与40万円=合計55万円)で計算すると、65万円以下なので年金は全額受け取れます。
月3.5万円の差は年間42万円となりますから、この恩恵を受ける人は相当数にのぼります。
得する人・損する人の境界線
得する人:月収と年金の合計が48万円超〜65万円以下の人。改正前は減額されていたが、改正後は全額受給することができます。
損する(影響が残る)人:合計が65万円を超える人。この場合は超過分の半分が引かれる仕組みは変わらないのですが、基準が上がった分、引かれる額は減っています。
副業収入(事業所得)は対象外
ポイントとして覚えておきたいのは、在職老齢年金の計算に使われるのは「給与(標準報酬月額)」だけという点です。
フリーランス収入や副業の事業所得は計算に含まれませんから、給与を抑えつつ副業で稼ぐ形にすると、年金を減らさずに収入を増やせる可能性があります。
今すぐ確認するには
日本年金機構の「ねんきんネット」にログインすると、自分の年金見込み額を確認することができます。
現在の給与額と合わせて計算してみることで、65万円の壁との距離がわかりますから、しっかりと確かめておきましょう。
「働き損」は完全に解消されたわけではありませんが、対象範囲は大きく縮小しました。
月収と年金の合計が65万円以下であれば、働くほど手取りは増える状況になっています。
定年後の働き方を設計する前に、一度自分の数字を確認してみてください。



