投稿者: 蒼鷹

  • 【年金の損益分岐点】受給開始から5年・10年・15年で亡くなる人の割合は?「

    【年金の損益分岐点】受給開始から5年・10年・15年で亡くなる人の割合は?「

    老後の年金、いくらもらえるの?

    そんな疑問、ほとんどの人が抱えるものですが、逆に「年金って、結局何年受け取れば元が取れるんだろう?」「65歳から受給し始めて、すぐに亡くなってしまったら払い損になるの?」

    そんな疑問を持ったことはありませんか?

    公的年金は「長生きリスク」に備えるための保険ですが、自分が何年間受け取れるのかは誰にもわかりません。

    今回は、厚生労働省の生命表データをもとに、65歳で年金を受け取り始めてから「5年・10年・15年以内」に亡くなってしまう人の割合と、もしもの時に「払い損」を防ぐための制度について分かりやすく解説します!

    年金を「5年・10年・15年」しか受け取れない人の割合

    65歳で年金の受給を開始した人が、それぞれの節目(70歳・75歳・80歳)までに亡くなる確率(=受給期間がその年数以下で終わる割合)をまとめました。

    受給期間死亡時の年齢男性の割合女性の割合全体の目安
    5年以内70歳未満約 5.0%(20人に1人)約 2.5%(40人に1人)約 3〜4%
    10年以内75歳未満約 16.0%(6人に1人)約 6.9%(14人に1人)約 11〜12%
    15年以内80歳未満約 32.0%(3人に1人)約 15.0%(7人に1人)約 23〜24%

    ※厚生労働省の生命表データ(65歳時点の生存率)をもとに試算。

    データからわかるポイント

    • 5年以内(70歳未満)で亡くなる人は全体の数%程度とかなり少数。
    • 10年以内(75歳未満)になると、男性の約6人に1人、女性の約14人に1人が該当します。
    • 15年以内(80歳未満)では、男性の実に3人に1人が80歳の節目を迎える前に受給を終えています。

    年金の「損益分岐点」は何年?

    公的年金はおおむね受給開始から「10年前後(75歳前後)」受け取ると、支払った保険料の元が取れる(払った額以上の給付になる)ようになるように設計されています。

    • 受給 10年未満(75歳未満で死亡):単純な個人の収支としては「払い損」になってしまう可能性が高い。
    • 受給 10年以上(75歳以上まで生存):支払った保険料以上の年金を受け取れるようになり、長生きすればするほど「得」をします。
    • 受給 15年以上(80歳以上まで生存):男性の約7割、女性の約8.5割がここまで生存します。つまり大多数の人は「元を取れる(得をする)」計算になります。

    もし早期に亡くなってしまったら「払い損」になる?

    「もし5年や10年で死んでしまったら、払った保険料が無駄になってしまう」「払い損になるのは馬鹿らしい」と思うかもしれません。

    しかし、日本の年金制度には早期死亡時の救済措置が用意されています。

    ① 遺族年金(遺族厚生年金など)が支払われる

    本人が亡くなった際、生計を維持されていた配偶者や子どもがいる場合は「遺族年金」が給付されます。

    本人が受け取れなかった分は、家族の生活保障として還元される仕組みになっています。

    ② 「未支給年金」を遺族が請求できる

    年金は「偶数月の15日に前月・前々月分」が支払われる後払い制です。そのため、亡くなった月までの未払い分(未支給年金)は、生計を共にしていた遺族が請求してまとめて受け取ることができます。

    ③ 繰下げ待機中の死亡でも「5年分一括受給」ができる

    「年金を増やそうと70歳まで受給を遅らせる(繰下げ)手続き中に、68歳で亡くなってしまった…」という場合でも安心です。65歳に遡って過去5年分の年金を一括で遺族が受け取ることができるルールが整えられています。


    独身(おひとり様)の場合はどうなる?

    「独身で身内が少ない場合、早期に亡くなったらどうなるの?」と気になる方もいるかもしれません。

    結論から言うと、独身(未婚・離別・死別など)で配偶者や子どもがいない場合、早期死亡時の「払い損」のリスクは結婚している世帯よりも高くなります。

    独身者が知っておくべき3つの現実

    1. 遺族厚生年金が支給されにくい
      遺族厚生年金の主な対象は「配偶者」や「18歳未満の子」。独身で子どもがいない場合、高齢の父母が存命でない限り、兄弟姉妹や甥・姪には遺族厚生年金が支給されません。
    2. 未支給年金を受け取れる人が限られる
      亡くなった月までの未払い分(1〜2ヶ月分)は生計を同じくしていた三親等以内の親族が請求できますが、完全にお一人で暮らしている場合、請求者がいなくなってしまいます。
    3. 「死亡一時金」は65歳以降の受給者には出ない
      国民年金の「死亡一時金」は、一度も年金を受け取らずに亡くなった場合の制度で、65歳から1回でも受給すると対象外になります。

    独身者におすすめの「年金戦略」

    独身の方で「もし早く死んでしまったらもったいない」と不安な場合は、「無理に繰下げ受給(受給開始を70歳や75歳に遅らせること)をせず、65歳から素直に受け取り始める」のが確実な戦略となります。

    年金は投資ではなく、自分が何歳まで生きても生活費が尽きないための「終身保険」です。

    65歳からしっかり受け取りつつ、万が一の損得よりも「自分の安心」のために活用するのが一番です。


    世帯に合わせた戦略で「長生き保険」を活用しよう!

    最後に、受給期間のデータと世帯ごとのポイントを整理しておきましょう。

    受給期間の目安(65歳受給開始の場合)

    • 5年以内(70歳未満)で死亡: 全体の約3〜4%
    • 10年以内(75歳未満)で死亡: 全体の約11〜12%(男性16%、女性7%)
    • 15年以内(80歳未満)で死亡: 全体の約23〜24%(男性32%、女性15%)

    損益分岐点(元の取れるライン)

    受給開始から約10年(75歳前後)で支払った保険料の元が取れる計算。

    家族がいる人と独身者で変わる「年金戦略」

    • 家族・配偶者がいる人:
      万が一10年未満で早く亡くなってしまっても、遺族年金や未支給年金として家族に還元されます。
      「自分が早く死んだら」と心配しすぎず、増額を狙って受給開始を遅らせる「繰下げ受給」を検討するのもアリです。
    • 独身(おひとり様)の人:
      早期死亡時の「払い損」のリスクが既婚者より高いため、無理に受給を遅らせず「65歳から確実に受け取り始める」のが手堅い選択。

    年金の本質は「長生きリスク」への備え

    年金は単なる損得勘定の投資ではなく、何歳まで生きるか分からない人生の「終身保険」です。

    大多数の人(特に女性の8割以上、男性の7割近く)は15年以上(80歳以上)生きることになります。

    ご自身の世帯状況(既婚か独身か)に合わせた受給戦略を立てつつ、老後の安心な資金計画に役立てていきましょう。

  • 年金「月6万円」男女差が示す、長寿おひとりさま時代の現実

    年金「月6万円」男女差が示す、長寿おひとりさま時代の現実

    公的年金の老齢厚生年金では、男性と女性の平均受給額に月6万円ほどの差があるようです。

    夫婦世帯を前提に設計されてきた制度の下で、長く働きにくい時代の続いた女性が、男性よりも長寿で、おひとりさまになりやすい現実と正面から向き合う段階に入ってきているようです。

    公的年金は、老後の生活を支える「家計の柱」として位置づけられていて、国民年金の老齢基礎年金は原則65歳から支給され、2025年度の満額は月額約6.9万円とされているのですが、実際の平均は5.8万円にとどまっています。

    ここに会社員などが加入する厚生年金が上乗せされ、老齢基礎年金を含む老齢厚生年金の平均月額は14.7万円となり、平均値だけを見ると、「年金は月十数万円」というおおまかなイメージなのですが、受給者全体を一つの数字に押し込めてしまうと、決定的な違いが隠されてしまいます。

    というのも、男女別に分けたときに、その差額は月6万円にも広がってしまいます。

    老齢厚生年金の受給額分布を男女で比べると、男性のピークは17〜19万円なのに対し、女性のピークは9〜10万円にとどまっていて、平均額でも、男性は16.7万円、女性は10.7万円と、ここでも6万円近い差が現れています。

    年金は「長く、毎月」受け取るお金であることを考えると、この差は一年で70万円前後、十年では700万円規模の開きにつながります。

    この差は、単に年金制度の給付水準が男女で異なるために生じているわけではなく、厚生年金が、報酬と保険料納付期間に応じて額が決まる仕組みとなっていることから、現役時代の働き方がそのまま老後の受給額に反映されてしまうのです。

    これまで、女性は男性に比べると賃金水準が低いうえ、結婚や出産などを機に雇用が途切れやすかったことから、厚生年金に加入していた期間そのものが短くなりやすく、現役期の賃金格差と就業パターンの違いが重なった結果、そのまま月6万円という数字として表に出ているのです。

    しかしながら、この男女差は深刻な問題として扱われにくかった。

    その背景にあるのは、公的年金制度が「世帯」、より具体的には平均的収入で40年間働き続けたサラリーマンの夫と専業主婦の妻というモデルを前提に組み立てられてきたという歴史に関係しており、妻本人の年金額が低くても、夫が安定した厚生年金を受け取っていれば世帯として暮らしていけるという前提に立てば、女性個人の年金水準の低さは制度上の問題としては見えにくかったのです。

    実際、年金額の公表も長らくこの夫婦モデルが中心となっており、毎年の発表では、平均的なサラリーマン世帯を単純化した夫婦の受給額が基準とされ、個人単位の受給額が多様な働き方ごとに示されるようになったのは、2025年からとまだまだ最近の話。

    モデル世帯を基準にすれば、世帯合計という数字が前面に出てしまい、その内側にある男女差は埋もれてしまう。

    ところが、社会の側はその前提から大きく姿を変えつつあり、女性は2人に1人が90歳まで生きるとされ、90歳の女性の約9割はシングルだとされています。

    65歳以上の高齢者全体でも、6割を女性が占めていて、長寿化と未婚率の上昇などを背景に、高齢期を一人で生きる女性が多数派になりつつある中、「夫の年金がある前提」で個人の年金水準の低さを見過ごすことは難しくなってきています。

    ここでようやく、月6万円という格差の意味が変わってきます。

    夫婦合算で見ることで吸収できていた差が、おひとりさまの女性にとっては、そのまま老後の生活水準を左右する数字となってきます。

    そもそも公的年金は、働けなくなったときの所得保障という役割を担っているにもかかわらず、現役期の賃金格差と就業機会の差が、保障されるべき老後の所得にも持ち越されている構図が、長寿でシングルになりやすい女性に集中しています。

    男女間の賃金格差は社会課題として広く認識されつつある一方で、その出口である年金における格差は、まだ十分に可視化されていません。

    それでも、老齢厚生年金で月6万円という差が常態化している事実は、賃金格差と同列に扱うべき問題の大きさを示しており、高齢期の多数派である女性の側に所得保障の弱さが集中していることは、早急な解決を行うべきことでもあります。

    年金を「世帯の収入」としてだけ見る発想から、「自分自身の生涯の所得」として捉え直す必要が生まれ、女性一人ひとりが将来の年金見込み額を把握し、その水準を前提に働き方や貯蓄の仕方を考え直すことは、もはや慎重な備えではなく、長寿かつおひとりさまになりやすい時代の前提条件に近い。

    月6万円という数字は、単なる統計上の差ではなく、公的年金の設計と現実の暮らしの間に生じたズレを示す指標として受け止めるべき段階に来ています。

  • 年金生活者支援給付金2026年度改定、支給要件と申請手続きを解説

    年金生活者支援給付金2026年度改定、支給要件と申請手続きを解説

    物価上昇が続くなか、公的年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」が2026年度(令和8年度)に増額されました。

    2026年度、年金生活者支援給付金が月額5,620円に増額

    令和8年4月分からの年金生活者支援給付金の給付基準額は、物価変動率を用いて改定され、令和7年度と比べて3.2%の引き上げとなりました。

    老齢年金生活者支援給付金の基準額は、令和7年度の月額5,450円から令和8年度は月額5,620円に改定されていて、改定に伴う「支給金額(改定)通知書」等は令和8年6月3日から順次発送されており、マイナンバーカードを利用できる「ねんきんネット」でも、6月9日から内容の確認やダウンロードが可能になっています。

    対象となる3つの条件(老齢年金生活者支援給付金)

    老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の支給要件は、日本年金機構の説明によると次の3点をすべて満たす場合とされます。

    1. 65歳以上で老齢基礎年金を受けていること
    2. 請求する方の世帯全員の市町村民税が非課税であること
    3. 前年の年金収入とその他所得の合計が一定基準以下であること

    具体的な所得基準は生年月日によって異なり、昭和31年4月2日以後生まれの場合、合計所得が809,000円以下であれば、老齢年金生活者支援給付金、809,000円を超え909,000円以下であれば、補足的老齢年金生活者支援給付金の対象となります。

    昭和31年4月1日以前生まれの場合は、基準額がそれぞれ806,700円、906,700円となり、実際の支給額は保険料の納付済期間や免除期間に応じて個人ごとに算出されるため、基準額がそのまま受給額になるわけではない点には注意しておきましょう。

    障害年金を受けている場合の給付金

    老齢年金だけでなく、障害基礎年金の受給者にも支援給付金が設けられていて、日本年金機構によれば、対象は障害基礎年金を受けており、前年の所得額が「4,794,000円+扶養親族の数×38万円」以下であることが要件とされ、給付額は障害等級1級が月額7,025円、2級が月額5,620円。

    申請・手続きの流れ

    年金生活者支援給付金の請求手続きは、対象者の状況によって定められていて、日本年金機構は、65歳の誕生日を迎え老齢基礎年金を新規に請求する場合、特別支給の老齢厚生年金を受けている場合、老齢基礎年金を繰上げ受給している場合、障害基礎年金または遺族基礎年金を新規に請求する場合、はがき型の請求書が届いた場合など、ケースごとに手続き方法を案内しています。

    自身がどのケースに該当するかは、日本年金機構のウェブサイトで確認しておくといいでしょう。


    2026年度は、物価変動率が反映され、年金生活者支援給付金の基準額が月額5,620円に引き上げられたとはいえ、対象となるかどうかは、年齢や世帯の市町村民税の課税状況、前年所得といった条件を満たすかで決まり、実際の支給額も納付済期間などによって個人差があります。

    自身や家族が対象に該当する可能性がある場合、日本年金機構から届く通知書やねんきんネットの内容を確認し、必要な手続きを行うようにしてください。

  • iDeCoは70歳まで延長、でも誰でも得とは限らない理由

    iDeCoは70歳まで延長、でも誰でも得とは限らない理由

    「70歳まで加入可能」という分かりやすい利点の裏に、年金の受給時期や所得によって効果が変わる条件がある。


    iDeCoの加入可能年齢が70歳未満まで広がる。

    老後資金を準備できる期間が長くなるため、誰にとっても有利な変更に見えるようですが、実際は65歳を過ぎても掛金を出し続けるには条件があります。

    所得控除の恩恵も、仕事による所得や納めている税金の額で変わってきますs、「長く積み立てられる」と「長く積み立てたほうがよい」は、同じ意味ではないことを理解しておきましょう。

    2026年12月から加入対象を拡大

    改正は2026年12月1日に施行される予定になっており、一定の条件を満たせば、国民年金の被保険者ではない60歳以上70歳未満の人もiDeCoへ加入し、掛金を拠出できるようになります。

    対象となるのは、iDeCoの加入者や運用指図者、企業年金からiDeCoへ資産を移す人などで、老齢基礎年金とiDeCoの老齢給付金を受給しておらず、企業型確定拠出年金でマッチング拠出をしていないことも条件となります。

    制度開始から3年間は経過措置が設けられ、通常の対象要件に当てはまらない60歳以上70歳未満の人にも加入の道が開かれるのですが、老齢基礎年金などをすでに受給している場合は対象外となってしまいます。

    65歳以降は「年金を受け取らない」が条件になる

    改正の分かりにくい部分は、65歳以降も掛金を出すなら、原則65歳から受け取れる老齢基礎年金を「受給していない必要」があることで、65歳になったら年金を受け取りながら、同時にiDeCoへ積み立てるという単純な使い方はできないようになっています。

    つまりは、老齢基礎年金を繰り下げ、iDeCoの老齢給付金も受け取らず、資産形成を続ける設計になるわけです。

    一定の収入があり、当面は年金を受け取らなくても生活できる人には選択肢のひとつとなるのですが、年金を生活費へ回したい人にとっては、加入可能年齢が延びてもこの制度は利用しにくいものと言えるでしょう。

    所得控除も収入があってこそ

    iDeCoでは、拠出した掛金が全額所得控除の対象になり、2026年12月からは、企業年金のない会社員などの拠出上限も、月額2万3000円から6万2000円へ引き上げられます。

    ただし、所得控除によって軽減される税額は、その人の課税所得によって異なっており、退職後に所得が少なく、所得税や住民税の負担も小さい場合、現役時代と同じ節税効果が得られるとは限りません。

    また、iDeCoの資産は原則として受給開始まで引き出すことはできませんから、住宅修繕や医療、家族支援など、まとまった支出が発生した場合、拠出額を増やすほど、自由に使える預貯金は減ることに。

    今回の改正で実用性が高まりやすいのは、まず60代前半で、働き続けながら所得控除を使い、積立期間を延ばしやすくはなります。

  • 2026年10月開始「国民年金の育児免除」とは?対象者・期間・手続きを解説

    2026年10月開始「国民年金の育児免除」とは?対象者・期間・手続きを解説

    2026年10月から、1歳未満の子どもを育てる国民年金第1号被保険者を対象に、「育児免除制度」が始まります。

    これは、自営業者やフリーランスなどが要件を満たして手続きすると、育児期間中の国民年金保険料が所得にかかわらず免除される制度で、大切なのは、単なる支払いの先送りではないこと。

    免除された期間は、保険料を納めた期間として老齢基礎年金額に反映されます。

    ただし、「子どもが1歳になるまで、全員が一律12カ月免除される」という仕組みではなく、実母と実父・養父母では、対象期間の数え方が異なります。

    国民年金保険料の育児免除とは

    国民年金保険料の育児免除制度は、1歳未満の子どもを養育する国民年金第1号被保険者について、一定期間の保険料を免除する制度で、改正法により2026年10月1日から施行されます。

    自営業者やフリーランスなどが対象

    国民年金第1号被保険者とは、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人のうち、厚生年金に加入しておらず、厚生年金加入者に扶養される配偶者にも該当しない人で、自営業者、フリーランス、農業者、学生、無職の人などが含まれます。

    これまで、会社員には育児休業中の社会保険料免除があったのですが、自営業者やフリーランスには同じ仕組みがなく、新制度は、こうした第1号被保険者の育児期間を支援するものとなります。

    免除期間は、保険料を納付した期間として老齢基礎年金額に反映され、一般的な所得要件付きの保険料免除とは異なり、将来の年金額が減らない点が重要です。

    自分が対象になるか確認する

    まず確認したいのは、子どもの年齢だけでなく、親自身の年金加入区分で、日本年金機構の案内によると、対象となるためには次の条件をすべて満たす必要があります。

    • 2026年10月1日以降、1歳未満の子どもを養育している
    • 養育者が国民年金第1号被保険者である
    • 子どもとの親子関係が継続している
    • 子どもと同じ住所に住んでいる

    対象となる養育者は実父母と養父母で、法律上の実子・養子のほか、特別養子縁組の監護期間にある子どもや、養子縁組里親に委託されている要保護児童も対象に含まれます。

    所得制限はなく、夫婦がともに第1号被保険者であり、それぞれが要件を満たす場合、父母の双方が対象となり得ます。

    第2号・第3号被保険者は対象外

    会社員や公務員など、厚生年金に加入する第2号被保険者は、この育児免除制度の対象ではなく、産前産後休業・育児休業期間に関する別の社会保険料免除制度を確認しておきましょう。

    第2号被保険者に扶養されている配偶者である第3号被保険者も、今回の育児免除制度の対象外で、そもそも第3号被保険者は、もともと国民年金保険料を個別に納める仕組みではないため。

    就職や退職、配偶者の扶養への加入などで被保険者区分が変わった場合は、対象期間も変わる可能性があり、個別の事情があるときは、市区町村の国民年金窓口や年金事務所で確認するようにしましょう。

    何月分まで免除されるのか

    免除期間は、実母と実父・養父母で異なり、制度が始まる2026年10月より前の月分は対象とはなりません。

    実母は産前産後免除に続く9カ月間

    第1号被保険者である実母には、すでに産前産後期間の保険料免除制度があり、育児免除は、この産前産後免除期間に続く9カ月間が対象です。

    両制度を合わせると、通常は最大13カ月間の免除になります。

    たとえば、出産予定日が2027年5月1日の場合、日本年金機構が示す例では、育児免除の対象は2027年8月分から2028年4月分までの9カ月間です。

    ここで注意したいのは、「出産月から12カ月」と数えるのではない点で、実母の場合は、先に産前産後免除が適用され、その後に育児免除が続きます。

    多胎妊娠などで産前産後免除期間が異なる場合や、産前産後免除を利用していない場合は、公式窓口で対象月を確認する必要があります。

    実父・養父母は最大12カ月間

    実父または養父母の場合、子どもを養育することになった月から、1歳の誕生日の前月までが対象で、上限は12カ月間となっています。

    子どもが2027年5月1日に生まれ、実父がその月から養育する場合、2027年5月分から2028年4月分までの12カ月間が対象になります。

    一方、制度施行前から子どもを育てている場合でも、免除されるのは2026年10月分以降だけで、日本年金機構は、2026年1月1日生まれの子どもの例について、実父・養父母の対象期間を2026年10月分から12月分までの3カ月間としています。

    したがって、子どもが制度開始時点で1歳未満でも、必ず12カ月分が免除されるわけではありません。

    免除によって将来の年金額は減らない

    この制度で免除された期間は、国民年金保険料を納付した期間として扱われるので、制度を利用したことを理由に、その期間に対応する老齢基礎年金額が減ることはありません。

    すでに対象期間の保険料を納めている場合も、手続きによって育児免除期間に変更でき、日本年金機構によると、納付済みの保険料は、ほかの期間への充当または還付の対象になります。

    一般の保険料免除や納付猶予、学生納付特例がすでに承認されている期間についても、届出によって育児免除期間として扱われます。

    なお、育児免除の期間中も、希望すれば月額400円の付加保険料を納められます。

    手続き方法と申請前の確認事項

    日本年金機構の周知リーフレットでは、次の方法が案内されています。

    • マイナポータルからの電子申請
    • 住所地の市区町村役場にある国民年金担当窓口
    • 郵送

    電子申請は24時間利用でき、基本的に添付書類は不要とされ、紙で手続きする場合は「産前産後免除該当届/育児免除該当届・終了届」のほか、マイナンバーカードの写しなどが必要になる場合があります。

    手続き前には、次の点を確認しておくといいでしょう。

    • 自分が第1号被保険者である期間
    • 子どもの生年月日または養育を始めた日
    • 子どもと同じ住所になっている期間
    • 実母の場合は産前産後免除の対象期間
    • 対象期間の保険料をすでに納めているか

    住所変更や被保険者区分の変更、養育関係の変化があった場合、追加の確認や届出が必要になる可能性がありますので、該当する場合は、自己判断せず窓口に相談してください。

    2026年10月から始まる国民年金保険料の育児免除は、1歳未満の子どもを育てる第1号被保険者が利用できる制度で、所得制限はなく、要件を満たせば父母の双方が対象になり得ます。

    覚えておきたいポイントは次の3点。

    • 対象は、原則として子どもと同じ住所で養育する第1号被保険者
    • 実母と実父・養父母では、免除期間の数え方が異なる
    • 免除期間は納付済期間として扱われ、老齢基礎年金額に反映される

    制度施行前から1歳未満の子どもを育てている場合も、2026年10月分以降が対象になる可能性があり、自分の被保険者区分と対象月を確認し、日本年金機構の最新案内に沿って手続きを進めてください。

  • マイナポータルのパスワードがロックされたときに確認したい手続き

    マイナポータルのパスワードがロックされたときに確認したい手続き

    マイナポータルにログインするときは、マイナンバーカードに設定した4桁の暗証番号を入力することになるのですが、久しぶりに使うと「これで合っていたかな」と不安になり、何度か試しているうちにロックがかかってしまうことがあります。

    これ、一度ロックされると、そのままではマイナポータルを使ったオンライン手続きができなくなるのですが、そんな経験のある人も多いのでは?

    マイナポータルの暗証番号がロックされる仕組み 

    マイナポータルにログインするときに使うのは、マイナンバーカードに登録されている「利用者証明用電子証明書」の暗証番号で、数字4桁で設定されているものなので、スマホアプリやブラウザからマイナポータルに入るときに求められます。

    この4桁の番号、不正利用を防ぐため入力回数に上限が設けられており、3回連続で間違えるとロックされる仕組みになっていて、一度ロックがかかると、そのままではログインすることができず、暗証番号の初期化や再設定の手続きが必要となります。

    混同しやすいのが、同じマイナンバーカードに設定されている別の暗証番号で、マイナンバーカードには、4桁の「利用者証明用電子証明書」とは別に、英数字6〜16桁の「署名用電子証明書」の暗証番号も設定されています。

    これはオンライン申請などで電子署名を行うときに使うもので、入力回数やロックの扱いも別に管理されていて、どちらも忘れてしまうと手続きが行えなくなってしまうので、「どの番号を何に使っているか」を一度整理しておく必要があります。

    ロックされたときどうする?

    ロックされたときに慌てやすいのは、「どこへ行けば解除できるのか」が分かりにくい点で、実際には、コンビニの端末から再設定できるルートと、住民票のある市区町村の窓口で手続きするルートがあります。

    2つのルートがあるとはいえ、コンビニですべてのケースに対応できるわけではなく、条件を満たせない場合、窓口での手続きが必要になります。

    ですので、今の自分がどの暗証番号まで覚えているのかを確認することが、その後の動き方を決める最初の一歩になります。

    コンビニで手続きできるケース 

    コンビニのマルチコピー機(キオスク端末)を使う方法は、平日に役所へ行きにくい人や、役所が遠い場所にある人にとってはありがたいものなのですが、実はこの方法は誰でも利用できるわけではなく、一定の条件を満たしている必要があります。

    具体的には、「署名用電子証明書(英数字6〜16桁)」と「利用者証明用電子証明書(数字4桁)」のうち、どちらか一方の暗証番号を覚えていることが前提。

    たとえば、マイナポータルで使う4桁の番号はロックされてしまったものの、英数字の署名用暗証番号は分かる場合などがこれに該当し、両方の暗証番号がわからない状態だと、このルートは使えません。

    コンビニでの手続きは、スマホアプリを使った事前準備から始まります。

    まずスマートフォンに「JPKI暗証番号リセット」アプリをインストールし、アプリ上でマイナンバーカードを読み取って本人確認を行い、そのうえで、アプリからリセットの予約を行い、予約完了から24時間以内にコンビニの端末へ向かう流れ。

    マルチコピー機の画面で「行政サービス」を選び、自分のマイナンバーカードをセットすると、新しい暗証番号を設定する画面が表示されます。

    ここで4桁の暗証番号を再設定すれば、ロックされていた状態から使える状態に戻せます。

    またこれには利用時間の制限があり、パスワードの初期化や再設定ができる端末は、原則として6:30〜23:00のあいだだけ操作可能。

    深夜や早朝に思い立っても、時間帯によっては手続きを進めることはできませんし、すべてのコンビニに対象の端末があるわけでもないので、どの店舗が暗証番号初期化・再設定に対応しているかは、公的個人認証サービスのポータルサイトで確認する必要があります。

    自宅や職場の近くで対応店舗が見つかるかどうかも、事前に見ておきたいですね。

    窓口での手続きが必要になる場合 

    コンビニでの再設定が利用できないケースとして代表的なのは、「署名用電子証明書」と「利用者証明用電子証明書」の暗証番号をどちらも思い出せない場合。

    この場合は、スマホアプリによる本人確認やコンビニ端末での操作ができないため、住民票のある市区町村の窓口で暗証番号の初期化・再設定を行うことになります。

    マイナンバーカードのICチップに登録されている情報そのものを確認し直すイメージに近く、本人確認を対面で行うことが前提となっています。

    ただし、窓口へ行く際には、一般亭にはマイナンバーカードに加え、顔写真付きの本人確認書類が求められます。

    具体的な組み合わせは自治体によって案内が異なる場合もあるため、自分の自治体の公式サイトで事前に確認してから役所に向かうといいでしょう。

    手続きそのものは窓口で完結し、その場で暗証番号の初期化と再設定が行われます。

    待ち時間は混雑状況によって変わりますが、一度の来庁でロックを解除できるのがこの方法の特徴。

    再設定後にロックをくり返さないためのポイント 

    暗証番号を再設定したあとは、手続きの面倒くささから「もう二度とロックさせたくない」という気持ちになるでしょう。

    とはいえ、あまりに複雑な番号にすると、次に使うときにまた思い出せない可能性もありますし、忘れないように数字4桁の暗証番号を、自分の誕生日や電話番号そのものと紐づけたいところですが、他の誰かから推測されやすいような数字列は絶対に避けておいたほうがいいので、自分の記憶に残りやすい組み合わせをひとつかふたつ作っておくのが安全です。

    これは英数字6〜16桁の署名用暗証番号も同様で、意味のある単語と数字を組み合わせるなど、自分なりのルールを決めておくと記憶しておけるでしょう。

    パスワードを再設定した後も、入力時の振る舞いにも気をつけておきたいところで、ロックを防ぐうえで自信がない状態で続けて入力をくり返すことは避けておきましょう。

    3回のミスで、またロックされてしまいますから。

    1回目の入力で「少し不安だな」と感じたら、まずはそこでいったん手を止め、メモや過去の記録を確認したり、家族と共有している場合は相手に確認するようにしましょう。

    スマホやパソコンのメモアプリに、番号そのものを書かずにヒントだけ残しておくなど、自分だけが分かる工夫をしておくと安心です。

  • 給与と年金のバランスをどう取るか:月65万円ラインの実務知識

    給与と年金のバランスをどう取るか:月65万円ラインの実務知識

    • 60代前後で、今後も続けて働く予定があり、年金と給与の両方を受け取る可能性がある
    • 自分や配偶者の年金と給料の関係を整理しておきたい
    • 会社から「65歳以降の勤務条件」の説明を受けており、収入や年金の見通しを立てたい

    60代以降も働き続けるのが当たり前になりつつある中で、「給料をもらいながら年金も受け取る」という人は今後ますます増えていきます。

    ただ知っておきたいのは、65歳以降に老齢厚生年金と給与を同時に受け取る場合、その合計が一定額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる仕組みがあるんです。

    基準となる金額は、2026年度から月65万円に引き上げられ、対象となる人の範囲も変わりました。

    どの年金が減るのか、給与やボーナスはどう扱われるのか、自分の収入だとどのくらい影響するのかを把握しておくと、働き方や勤務時間を考えるときの判断材料になります。

    ここでは、在職老齢年金の基本的な仕組みと、生活設計のなかでどのように捉えるかを確認してみましょう。

    月65万円というラインが意味するもの

    65歳以降に老齢厚生年金を受け取りながら働く場合、「給与と年金の合計が月65万円を超えると、老齢厚生年金の一部がカットされる」というルールがあります。

    ここで対象となるのは、厚生年金から支給される老齢厚生年金だけで、国民年金に相当する老齢基礎年金は減らないことが重要なポイント。

    計算の考え方は「老齢厚生年金の月額」と「給与の月額」を足して、その合計が65万円を超えた分の2分の1が支給停止となります。

    例を挙げてみると、老齢厚生年金が月10万円、給与とボーナスをならした額が月61万円なら、合計は71万円です。この場合、65万円を6万円超えているので、その半分の3万円がカットされ、実際に受け取る老齢厚生年金は7万円になってしまいます。

    この仕組みは、高い給与を得ている就業中の高齢者に対し、一定以上は年金を抑えることで全体のバランスを取るためのもので、2022年度の時点では基準が月47万円だったため、同じ収入でも年金がカットされる人が多くなっていたのですが、2026年度からは65万円に引き上げられ、対象となる人は減ってきました。

    とはいえ、それでもフルタイムで働く正社員や専門職・管理職として高い給与を得ている人は、依然としてこのラインを超える可能性はあります。

    ここで押さえておきたいのは「65万円を超えた分すべてが消えるわけではなく、超過分の半分が老齢厚生年金から調整される」という点。

    給与が多いぶん、手取りの総収入はなお高くなるケースが多く、制度上は「高収入の人の年金を一部抑える」調整に近いイメージになります。

    給料とボーナスをどう足して判断するのか

    月65万円のラインを判断するときに使う「給与の月額」は、単純に毎月の手取り額ではありません。

    社会保険料を計算するときに使う「標準報酬月額」に、過去1年間の賞与(ボーナス)合計を12で割った金額を足したものが基準となります。

    この合計を「総報酬月額相当額」と呼び、この数字と老齢厚生年金の月額を足して65万円と比較します。

    具体的なイメージをつかむために、数字をあてはめてみましょう。

    老齢厚生年金が「月10万円」、毎月の給与が「56万円」、年間のボーナスが「60万円」のケースを考えるとします。

    まず、年間ボーナス60万円を12で割ると5万円となり、これを56万円に足すことで「給与の月額」は61万円となります。

    そして、老齢厚生年金「10万円」と足し合わせると71万円となり、ここから65万円を引いた6万円の半分、3万円が年金からカットされることになります。

    このように、同じ月給でも、ボーナスの有無や金額によって「合計が65万円を超えるかどうか」が変わってきますので、年の途中から働き方を変えた場合や、賞与が大きく増えた年には、その影響が翌年以降の計算に反映されます。

    実際に自分のケースでどうなるかを確認したいときは、「自分の老齢厚生年金の月額」「標準報酬月額(健康保険証などに等級として記載されていることが多い)」「過去1年分のボーナス合計」をそろえると、計算しやすくなります。

    専用のシミュレーションツールを使う場合も、これらの数字を入力することが前提になるため、まずは源泉徴収票や給与明細、年金の通知書などを手元に集めるところから始めてみましょう。

    働き方を調整するか、そのまま稼ぐかを考える

    月65万円というラインがあると「年金が減らされるくらいなら、給料を調整した方がいいのでは」と考えたくもなりますよね?

    老齢厚生年金が月10万円の場合、給与の月額が55万円以下であれば合計は65万円以内におさまり、老齢厚生年金はカットされませんので、この範囲に収まるように勤務時間や役職、残業の仕方を見直すという考え方も現実的な選択肢のひとつ。

    一方で、日本の将来の物価や税金、社会保障の負担などは読みづらく、今、安定して高い給与を得られているなら、その機会を活かして貯蓄や投資の原資を増やしておくという考え方もあります。

    年金が一部カットされたとしても、トータルの収入が大きければ、そのぶん将来に備えるお金を確保しやすくなりますので、どちらが正解という話ではなく、「お金」と「時間」と「体力」をどう配分したいかで判断が変わってきます。

    年金がカットされることに強い抵抗感があるなら、勤務日数を減らしたり、短時間勤務に切り替えたりして、意図的に収入を抑える道もあります。

    空いた時間を趣味や家族との時間、健康づくりに使うことを優先したい人にとっては、この方が納得感があるかもしれません。

    しかし、仕事一辺倒でやってきた高齢の男性からすると、まだまだ働いて痛いという人もいるでしょうし、それぞれがそれぞれの価値観で老後設計していくのがいいでしょう。

    いずれの選択を取るにしても、まずは「自分の場合、どのくらいの給与水準から年金が減り始めるのか」「いくらまでなら減らずに済むのか」を数字で把握しておくことは大切です。

    そのうえで、会社に短時間勤務や役職の見直しが可能か相談するのか、現状の収入を維持して老後の資金づくりを優先するのかを検討していくのがいいでしょう。