厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額は全体で15万289円となっていて、男性は16万9967円、女性は11万1413円で、男女差は5万8554円になっています。
この差は、2階部分にあたる厚生年金の加入期間や納付保険料額が個人差として反映される仕組みによるもので、日本の公的年金は、1階部分の国民年金と、2階部分の厚生年金による2階建て構造になっていて、国民年金保険料は所得にかかわらず一律の月額1万7920円(2026年度)、40年間すべて納付した場合の満額は月額7万608円となります。
厚生年金は会社員や公務員、要件を満たすパートタイマーなどが上乗せで加入し、保険料は収入に応じて決まり、勤務先と本人が折半するもの。
同じ統計では、公的年金収入が「月20万円以上」に達している厚生年金受給権者は18.8%にとどまり、81.2%は20万円未満となっていて、1万円刻みの受給額分布を見ると、最も多いのは10万円以上〜11万円未満の層で111万2828人、16万円台から19万円台にかけても100万人前後の層が並び、20万円以上〜21万円未満は85万3591人にまで減ります。
平均15万289円という数字は、こうした分布の中心に近い位置にあり、平均額の受給者が「月20万円」に届くには月4万9711円が不足しています。
65歳からの受給期間で単純計算すると、10年で約596万5000円、15年で約894万7000円、20年で約1193万円、25年では約1491万3000円の累計不足になり、これは受給額が改定されない前提の試算とはいえ、退職金だけで埋めるには大きい規模といえる金額になっています。
年金への依存度は世帯の所得構成にも表れていて、2025年国民生活基礎調査によれば、高齢者世帯の1世帯当たり平均総所得は336万1000円で、前年の314万8000円から6.8%増えているものの、それでも全世帯平均575万2000円の約6割にとどまっていて、所得の内訳は公的年金・恩給が61.3%、稼働所得25.9%、財産所得5.8%で、稼働所得が74.1%を占める全世帯とは収入の柱が逆転しています。
総所得のすべてが公的年金・恩給という世帯は41.3%にのぼり、80%以上を年金に頼る世帯は合計58.4%を占めています。
生活意識調査では、高齢者世帯の52.1%が「大変苦しい」または「やや苦しい」と回答しており、「普通」が41.7%、「ゆとりがある」と回答したのはたったの6.2%に。
世帯構成を見ると、65歳以上の者がいる世帯のうち単独世帯が33.8%、夫婦のみ世帯が32.0%で、合わせて65.8%を占め、三世代世帯は1986年の44.8%から5.8%まで減少しており、約40年で8分の1程度まで縮小しており、家計を分け合う相手がいない世帯が、高齢者世帯の中で多数派になっています。
受給額分布を見る限り、平均を下回っていること自体はまったく珍しいことではなく、平均値と自分の見込額を単純に比較して卑下してしまうよりも、自分や配偶者が必要とする生活費を基準に今後のライフプランを考えるほうが建設的で、他人と比べる前に自分自身の生き方を見つめ直してみましょう。
その手順として、まず「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で自分と配偶者の見込額を世帯単位で確認し、不足額を把握しておきましょう。
平均総所得336万1000円のうち、年金が61.3%を占める一方、収入のすべてが年金という世帯が41.3%も存在しており、「平均」だけを見て老後家計を判断すると実態を誤解しやすくなりがち。
平均額や世帯平均所得は、あくまで分布の中の一点にすぎず、自分と配偶者の年金見込額をねんきんネットなどで確認し、支出との差を具体的な金額として把握したうえで、どこまでを積立で補うかを検討しておくべきでしょう。
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