新NISA、証券会社は変更すべき?比較基準と判断の仕方

NISA

執筆者:

カテゴリ:

シェアする

2026年も8月に入り、放置していた証券口座の整理をそろそろ片付けたいと考えている人もいるのでは?

新NISAはすでに始めているものの、いま使っている証券会社をこのまま使い続けていいのか?それとも他社に変更したほうが得なのか?判断がつかないまま来ている人も多いことでしょう。

特に旧NISAの口座を別に持っている場合、その資産をどう扱うかも合わせて考える必要が出てきます。

今回、証券会社を変更すべきかどうかの判断基準、SBI証券と楽天証券を中心とした比較、旧NISA資産の扱い、そして実際に金融機関を変更する際の手順を改めて考えてみましょう。

証券会社の優劣は一律には決まりませんし、自分が普段使っているクレジットカードやポイント経済圏との相性で、最適な選択肢が変わってくるものなのですよ。

証券会社を変更すべきか?その判断基準

証券会社を変更する価値があるかどうかは、まず「いま何を使っているか」で決まり、クレジットカード積立をまだ設定していない、あるいは還元率の低いカードで積立をしている場合は、変更によって得られるメリットが比較的大きくなります。

逆に、すでにSBI証券や楽天証券のような主要ネット証券を使っていて、なおかつ自分がよく使うポイント経済圏とも一致している場合は、わざわざ変更する必要性は薄いといってもいいでしょう。

判断を難しくしているのは、変更そのものに手間がかかる点で、後述するが、NISAの金融機関変更は年に1回しかできず、手続きにも1〜2ヶ月ほどかかります。

還元率の差が年間で数千円程度にとどまるなら、その手間に見合わないこともありますし、まずは自分の積立額とカード利用状況を照らし合わせ、変更によってどの程度の差が生まれるのかを確認してから判断するようにしましょう。

主要証券会社を同じ基準で比較

証券会社選びで比較すべき軸は、クレジットカード積立の還元率と、取扱銘柄の充実度の2つに絞られ、使い勝手やアプリの操作感も気になるところではあるとはいえ、これは個人の慣れによる部分が大きく、客観的な優劣をつけられる性質のものでもなく、実際に無料で口座を開設し、積立設定の画面を見比べてみるのも一つの方法。

クレジットカード積立の還元率

還元率の仕組みは、SBI証券と楽天証券でかなり性格が異なる。

楽天証券の場合、還元率は年間のカード利用額に関係なく固定されていて、代行手数料が年率0.4%以上のファンドを積み立てる場合、楽天カード(一般)・楽天ゴールドカード・楽天プレミアムカードはいずれも1.0%、楽天ブラックカードは2.0%の還元となります。

一方、代行手数料が0.4%未満の低コストなインデックスファンドを積み立てる場合、一般カードが0.5%、ゴールドカードが0.75%、プレミアムカードが1.0%、ブラックカードは変わらず2.0%という段階になるので、低コストファンドを積み立てるなら、プレミアムカード以上でないと1%還元には届かない仕組みになっています。

年間の利用額を気にしなくていい分、還元率の見通しは立てやすい。

SBI証券は、これとは対照的に条件が積み重なる仕組みになっていて、三井住友カードによる積立では、対象カードの年間利用額に応じて基本の還元率が変わり、公式サイトでは最大4%までポイントが付与され、加えて、Oliveの資産運用サービスに申し込み、一定の条件を満たすと最大2%が上乗せされる仕組みもあります、

さらに2026年4月からは、Oliveアカウントの円普通預金残高に応じて還元率が最大0.5%上乗せされる「Olive限定上乗せプラン」も始まっています。

しかし、このOlive上乗せプランと先の資産運用特典は同時には適用されないので、両方をそのまま足し合わせた数字がそのまま得られるわけではないことには注意。

ネット上には「還元率4.5%」「最大6%」といった数字も出回っているが、これらはいずれも特定の条件をすべて満たした場合の上限であり、通常のカード利用だけで到達する水準ではない点は理解しておきましょう。

このように、楽天証券は「シンプルだが上限が低め」、SBI証券は「条件次第で上限は高いが仕組みが複雑」という違いがあり、カードの年間利用額を管理する手間をかけられるかどうかも、選択の分かれ目になります。

取扱銘柄・投信ラインアップ

つみたて投資枠だけで比較すると、両社の取扱銘柄数に大きな差はなく、2026年7月時点の情報では、SBI証券が294本、楽天証券が290本とされ、ほぼ横並びと見ていい。

低コストのインデックスファンドを中心に積み立てるなら、この面で証券会社を選ぶ理由はなく、差が出るのは、成長投資枠や個別株の取引まで含めた場合。

SBI証券は投資信託・日本株・単元未満株・外国株のいずれについても、成長投資枠での取扱商品数が楽天証券を上回っていて、特に単元未満株については、SBI証券が楽天証券の2倍以上の銘柄を扱っていて、日本株の対応取引所についても、SBI証券が東京・名古屋・福岡・札幌の4市場に対応しているのに対し、楽天証券は東京と名古屋の2市場にとどまっています。

つみたて投資枠中心で運用するつもりならこの差はほとんど影響しないが、成長投資枠で個別株や外国株にも手を広げたい場合、SBI証券のほうが選択肢が広くなります。

自分の経済圏に合う証券会社の選び方

還元率と取扱銘柄だけを見ると差が小さく感じられるかもしれませんが、実際の得のしやすさは、自分が普段どのポイント経済圏を使っているかによって大きく変わってきます。

楽天市場や楽天カードを日常的に使っている人であれば、楽天証券を選ぶ理由は、単純にクレカ積立の還元率だけにとどまらず、楽天ポイントコースとマネーブリッジの設定を組み合わせることで、楽天市場での買い物のポイント還元率を引き上げるSPU(スーパーポイントアッププログラム)の対象にもなります。

積立自体の還元だけでなく、日常の買い物全体にメリットが波及する点が楽天経済圏のユーザーにとっての強みといってもいいでしょう。

一方、Vポイントやコンビニ・飲食店での還元を重視する人には、SBI証券と三井住友カードの組み合わせが選択肢となり、Oliveアカウントと組み合わせることで、対象のコンビニや飲食店での支払いに還元率が上乗せされる仕組みが用意されていて、投資と日常の決済をひとつのカードにまとめたい人には相性がいい。

どちらの経済圏にも強くこだわりがなく、シンプルに投資だけを考えたいという人は、還元率の差より、取扱銘柄の広さや手数料体系といった投資そのものの条件で選ぶほうが、長期的には納得感を持って続けやすくなるはず。

旧NISA口座の資産は売却すべきか?そのまま持つべきか?

証券会社の変更を考えるとき、もう一つ避けて通れないのが旧NISAで保有している資産の扱い。

ここでまず押さえておきたいのは、旧NISAの資産を新NISAへそのまま移すことはできないという点で、楽天証券の公式サイトでも説明されているとおり、旧NISAから新NISAへのロールオーバー、つまり非課税のまま資産を移し替える仕組みは制度上廃止されています。

旧NISAの非課税期間が終了すると、保有している商品は自動的に課税口座へ移され、移された後にその商品を売却して利益が出た場合、譲渡益や配当には20.315%の税金がかかります。

これは所得税および復興特別所得税15.315%と住民税5%を合わせた税率で、国税庁のタックスアンサーにも示されている一般的な上場株式等の税率。

では、非課税期間が終わる前にどうするべきか?

選択肢は大きく3つあり、一つは、そのまま保有を続け、非課税期間終了後に課税口座へ移った状態で持ち続ける方法。

二つ目は、非課税期間内に売却してしまう方法。

三つ目は、一度売却して現金化し、その資金で新NISA側に同じ商品を買い直す方法。

三つ目の方法を使えば、同じ銘柄を新NISAの非課税枠の中で持ち続けることができるのですが、売却と買付のタイミングによっては市場価格の変動で損失が生じる可能性もあり、含み益が大きい銘柄ほど、いったん利益を確定させてから買い直すという判断が合理的になりやすい一方、含み損を抱えている銘柄では急いで動く必要はない。

どちらが正解というより、保有している銘柄の含み損益と、今後も値上がりを期待するかどうかによって判断が変わる部分が大きく、金額が大きい場合や、確定申告への影響が気になる場合は、税理士など専門家に相談したうえで決めるのも一つの方法となります。

金融機関を変更する具体的な手順と注意点

比較検討した結果、証券会社を変更すると決めた場合、次に押さえておくべきはNISA口座の金融機関変更のルール。

まず大前提として、NISAで利用する金融機関は年に1回しか変更できないうえ、その年にすでにNISA口座で買付をしている場合、その年のうちに金融機関を変更することはできず、変更は翌年からとなります。

受付期間の目安は、変更したい年の前年10月1日から、変更する年の9月末前後までとされているのですが、締切日は金融機関によって前後しており、9月末ちょうどではなく9月上旬や中旬で受付を締め切る金融機関もあるため、変更を考えている場合、変更先の証券会社に具体的な締切日を早めに確認しておきましょう。

手続きの流れとしては、まず現在NISA口座を持っている金融機関で変更の手続きを行い、「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」を受け取るのですが、この書類の発行には1〜2週間程度かかることが多いことを覚えておきましょう。

書類を受け取ったら、変更先の金融機関でNISA口座の開設を申し込み、税務署の審査を経て手続きが完了するのですが、全体としては1〜2ヶ月ほど時間がかかることを見ておくのが無難。

注意しておきたいのは、変更前の金融機関で保有していた資産は、変更後の金融機関のNISA口座へそのまま移すことができないという点で、制度上、NISA口座間での商品の移管は認められていないため、変更前に買い付けた商品は、それまで使っていた金融機関で非課税のまま保有を続けることになります。

つまり、証券会社を変更しても、それまでの資産と新しい資産は別々の口座で管理していく形になるので、この点を踏まえたうえで、変更するタイミングを年末や年始などのきりのいい時期に合わせて計画しておくと、手続きの管理がしやすくなります。


証券会社を変更すべきかどうかは、還元率の数字だけで決めるものではなく、自分が普段使っているカードやポイント経済圏との相性、そして成長投資枠でどこまで投資対象を広げたいかによって、最適な選択肢は変わってきます。

楽天証券は還元率の仕組みがシンプルで経済圏との相性を活かしやすく、SBI証券は条件次第で還元率の上限が高く、取扱商品の幅も広い。

旧NISAの資産は新NISAへ直接移すことができないため、非課税期間が終了する前に、保有を続けるか、売却するか、買い直すかを別途判断しておく必要があり、証券会社の変更を決めたら、年1回しかできない金融機関変更の受付期間を確認し、廃止通知書の受け取りから新口座開設までの流れを逆算して、余裕を持ったスケジュールで進めることを考えましょう。