65歳以上の「4人に1人が働く」だけでは見えない現実。60代後半は約2人に1人、70代前半も3人に1人

働く高齢者

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65歳を過ぎたら仕事を辞め、年金を中心に暮らす。

かつては、そんな区切りを老後のイメージとして持つ人も少なくありませんでしたし、今もそう思っている若い人も多いかもしれません。

しかし、年齢別の統計を見ると、65歳以降の働き方は一括りにできないようで、2024年の労働力人口比率は、65~69歳で54.9%、70~74歳で35.6%となっていて、65歳以上全体の数字だけを見るよりも、60代後半と70代前半と分けたほうが、実際の生活に近い姿を想像することができます。

「65歳以上」でまとめると差が隠れる

内閣府によれば、2024年の65~69歳の労働力人口比率は54.9%になっていて、単純に言えば、60代後半の約2人に1人が、働いているか、仕事を探している状態となっています。

さらに70~74歳でも35.6%と、およそ3人に1人が働いているか、職を探していて、さすがに75歳以上になると12.2%まで低下するとはいえ、75歳を過ぎても働く人が一定数いるんです。

ここで認識しておきたいのは、労働力人口比率と就業率は同じ指標ではないことで、労働力人口比率は働いている人に加えて、仕事を探している失業者も含む割合となっていて、記事や統計表の数字を比べるときは、どの指標を使っているかまでを確認する必要があります。

就業者の割合は男女差もあり、65~69歳では男性62.8%、女性44.7%、70~74歳では男性43.8%、女性27.3%となっていて、特に男性は、65歳を過ぎても10人中6人以上が仕事をしている計算となります。

働く理由は「生きがい」だけではない

高齢者が働く理由について「健康のため」「社会とのつながりのため」だと考えられればいいのですが、実際のところ、内閣府が2024年度に実施した60歳以上を対象とした調査では「収入のため」と答えた人が5割以上も存在しており、これは65歳以上でも同じく「収入のため」が最も多く、そこから年齢が高くなるほど「働くのは体によいから、老化を防ぐから」と答える割合が高くなっていくようです。

つまり、同じ「65歳以上の就業者」でも、働く目的は一つではなく、生活費を補うために働く人もいれば、体力維持や知識・経験の活用を目的にする人もいます。

就業率の数字だけでは、働かざるを得ないのか、働きたいのかまでは分かりませんね。

一方、2019年に実施されたJILPTの「60代の雇用・生活調査」では、60代の就業者が仕事をした理由として「経済上の理由」を挙げた割合が76.4%ととても高く、このうち、経済上の理由を最も主要な理由とした人で、「自分と家族の生活を維持するため」が84.2%を占めています。

ただし、この調査は2019年時点の60~69歳を対象にしたもので、2024年度の内閣府調査と調査年・対象者・質問形式が異なるため、76.4%を現在の65歳以上全体の割合として扱うことはできませんが、現在の傾向を説明する補助的な資料としてみておくのもいいでしょう。

働く割合が高くても条件は同じではない

「65歳以降も働く人が多い」と聞くと、現役時代と同じような働き方を続ける人が増えているように感じるかもしれませんが、雇用条件には年齢差があります。

内閣府によれば、役員を除く雇用者に占める非正規雇用者の割合は、男性では55~59歳の10.3%から、65~69歳の67.8%へ上昇し、女性も55~59歳の58.1%から、65~69歳では83.2%となっています。

非正規雇用には、パート・アルバイト、契約社員、嘱託などが含まれ、働いているかどうかだけでなく、勤務日数、労働時間、雇用形態、賃金がどう変わるかまでを見なければ、老後の収入は計算できません。

また、65歳までの雇用確保措置は企業に義務付けられていますが、70歳までの就業確保措置は努力義務となっています。

ちなみに内閣府の白書によれば、従業員21人以上の企業で70歳までの就業確保措置を実施済みの割合は31.9%となっています。

これは、65歳以降も働ける人が多いことと、70歳まで同じ会社で働けることが別の問題であることを示しており、勤務先の制度があるか、定年後に仕事内容や賃金がどう変わるかは、個別に確認しなければなりません。

老後の計画は年齢ごとに分ける

老後資金を考えるとき、「65歳から年金生活」と一つの線を引くだけでは、現実とのずれが生じやすくなります。

65~69歳は働く可能性が高くても、70~74歳ではその割合が下がり、75歳以上ではさらに低下します。

計画を立てるなら、少なくとも次のように時期を分けて考える方法があります。

  • 65~69歳:継続雇用や再就職を含め、働く場合の収入と勤務条件を確認する。
  • 70~74歳:仕事を続けられる前提にせず、年金・貯蓄だけで生活できるかを確認する。
  • 75歳以降:健康状態や介護などで働けなくなる可能性を考え、就労収入を基本の収入にしない。

もちろん、年齢だけで働き方が決まるわけではありませんが、健康状態、職種、住んでいる地域、家族構成、住宅費、年金額によって必要な収入は変わってきます。

高齢者世帯の平均所得は、厚生労働省「国民生活基礎調査」を基にした内閣府白書で304.9万円とされていますが、これは世帯単位の平均値であり、個人の年金額や就労収入を示す数字ではありません。

「65歳以上の4人に1人」という平均は、日本の高齢者がどの程度働いているかを大まかに知るには役立つのですが、自分や家族の老後を考えるうえでは、65~69歳、70~74歳、75歳以上に分け、働く可能性と働かない場合の収入を別々に見積もることが必要となります。